子育て通信 #130

男の子を育てる

似てない兄弟

 私と弟はあまりにも似ていないので、「本当に兄弟ですか?」とよく言われます。確かに今まで、誰からも兄弟と思ってもらえなかった私たち兄弟です。
 思い返すと弟とは子どもの頃、毎日兄弟ゲンカをしていました。性格は本当に違います。食べ物の好みも違います。その他色々と違う私たちは度々ぶつかり合いました。しかし、そのケンカも私が18歳の時で消えました。弟が父に勘当されて家を出て行ったからです。

対人恐怖症が治る

 弟は頭が良く、成績はトップクラスでした。しかも運動神経も優れ、中学時代はバスケット部で部長もしていました。ところが、その中学3年生の時に突然対人恐怖症になり、学校にも行けなくなりました。まだ不登校という言葉さえ無い時代でした。わけがわからず、母は弟を幾つも病院に連れて行きましたが、全く変化が無く、治りませんでした。なんとか高校に入ったものの、やはり登校できず苦しんでいた弟が、ある日、キリスト教会に行きました。そこで弟はすぐにクリスチャンになるのですが、なんとその日に弟の対人恐怖症は治ってしまったのです。元気になって戻ってきた弟に、私は驚きと同時に大喜びしました。

勘当された

 しかし、キリスト教嫌いの父は、弟が治ったことを喜ぶどころか、クリスチャンになったと喜んで伝えた弟に向かって「勘当じゃ! 出ていけ!」と弟を追い出してしまったのです。
 家を出た弟は、クリスチャンの経営する職場に住み込みで働かせていただき、その後、イスラエルに行って大学を出、私とは違う団体ですが、牧師になっているのです。20年以上会ってなかったように思います。あの子どもの頃の兄弟ゲンカが懐かしくなります。
 父は孫ができた頃から大変穏やかになり、弟の勘当を解いたとは言わないまでも「帰ってきたらええのに」と言うようになっていました。そして、弟家族も実家に時々来るようになり、私も弟家族と会うようになりました。
 特に父の晩年には、互いに見舞いに行って、会う機会が増えました。もう全く兄弟ゲンカはしません(笑)。

難しい子育て

 私たち兄弟は、兄弟ゲンカが絶えなかったと言いましたが、男の子は確かによく兄弟ゲンカをするらしいです。もちろん、仲の良い兄弟もたくさんあるみたいですが・・・。どうしてこんなにケンカするのか、あるいはやたら動き回る男の子、落ち着きが無い、じっとしない男の子のことが、お母さん方にはよくわからないようです。

 そういう中、最近、男の子に関する本がたくさん出回っています。若いお母さん方が、「男の子がわからない」ということの結果だと思います。
 AD・HDは男の子が女の子の10倍の数いると言われています。このことだけでも、お母さん方には男の子を育てるのが難しい事を物語っていると思います。

男の子とは・・

 PHPの「のびのび子育て」に載っていたのを引用しますと、「男の子って、こんな生き物です」という題で、

・勝ち負けにこだわる
・虫やおもちゃなど、集め出したらとまらない
・『オッパーイ!』『おしり~!』『うんこ~!』などと叫ぶ
・『どうしてこんなことするの?』と聞いてもだんまり
・リーダー格の男の子に、その他大勢がついていく
・ひと時もじっとしていない
・高いところから飛び降りたり、塀の上を歩いたり、危ないことばかりする
・言うことを聞かない。そもそも話を聞いていない

 男の子をお持ちのお母さん方、以上のことを読んで、我が子にいくつくらい当てはまりますか?

私の子ども時代は・・

 私は実はおとなしい類の男の子でした。弟は運動神経も優れてよく動き回り、じっとしていませんでした。でも、おとなしい方だった私も子ども時代を振り返ってみますと、虫採りは大好きでしたし、ビンジュースなどの王冠やきれいな石ころを集めまくっていました。母が担任に「収集癖がある」と連絡帳に書いていました。
 塀の上を歩くのも好きでした。あちこちの家の塀を歩いたり、木に登ったり、宅地造成中の崖を登って滑り落ちたり、カエルの皮をはいでザリガニ釣りをしたりしていました。
 私の友人のおとなしそうな男の子でも、私と同じようなことをしていました。果たしてこんな息子に母親は苦労したのでしょうか? どう育てて良いか分からないと思ったでしょうか? 私の子ども時代は子育てが大変だとは思われていなかったように思います。

男の子に関する本続出

 私が「子育ての会」を開いて(25年くらい前)しばらくすると、「男の子をどう育ててよいかわからない」という相談を受けるようになりました。そういう男の子は特にじっとしていない子でした。その頃は特に男の子の育て方に関する本があったわけでもなく、私は経験からお母さん方にお話ししてきましたが、10数年前に「男の子って、どうしてこうなの?」(スティーヴ・ビダルフ著 草思社)という本を見つけました。男性ホルモンによって男の子はじっとしていることができないなど、実に男の子のことがわかりやすく書いてあります。この本を多くのお母さん方に読んでいただきました。「よくわかった」という反響が多く、役に立ったのです。
 そして、最近では実にたくさんの「男の子の育て方」に関する本が出ています。また、男性と女性の違いをわかりやすく書いた本もあります。
 「話を聞かない男、地図が読めない女」(アラン・ピーズ バーバラ・ピーズ共著 主婦の友社)は、結婚前に読んでおくべきだとも言われている本で、男性と女性の考え方、感じ方の違いなどが実にわかりやすく書かれています。
 また、「夫婦脳」(黒川伊保子著 新潮文庫)もわかりやすいです。
 「夫婦の格式」(橋田壽賀子著 集英社新書)も参考になります。
 私が結婚講座などで使うキリスト教の書籍にもたくさんそういう本があります。

 こうした本がたくさん出版されるようになったのは、男の子が理解出来ず、育て方がわからないお母さん方が多いからだと思います。友達とのトラブルが多かったり、お母さんの言うことを聞かず、電車やバス、お店でも困る経験が多いからではないでしょうか。
 さらに、夫の行動・考え方が理解出来ないということをよく聞きます。これも原因では無いでしょうか。

大人になれるか

 男の子が大人になる、つまり「男性」として自立するために、幼児期、少年期にどのように育てることが大事なのか気になると思います。
 男の子は女の子より大人になるのに時間がかかるようです。私が中学の教師時代、1年生の生徒を見て思ったのは、男の子はみんなまだ小学生のような子どもで、女の子はすでに女性らしくなっていることでした。さすがに3年生になると男の子も大人になったなあという感じでした。
 そして、男子は大人になってもどこかに「子ども」「男の子」を持ち続けています。良い言い方をすると「男のロマンがある」のです。
 そして、母親との関係によってしっかりした男性になったり、マザコンになったりすることも発見しました。
 私が気にしているのは「大人になりきれない男」が増えているという話です。事実、結婚して、子どもが生まれて父親になったにもかかわらず、何もかも奥さん任せで、自分はゲームやインターネットに熱中しているという話が多々あるのです。
 男の子をしっかりした大人の男性に育てるのはそういう意味では難しいのかも知れません。
 聖書には、
ですから、私は願うのです。男は、怒ったり言い争ったりすることなく、どこででもきよい手を上げて祈るようにしなさい。(Ⅰテモテへの手紙2:8)
 という言葉があります。このような男性に育て上げるのが大事だと思うのです。そのためには 「どこででもきよい手を上げて祈る」 父親が必要だと思います。母親は子どものためによく祈るものです。私も母親の祈りによって守られてきました。父に勘当された弟のために母はどれほど祈ったでしょうか。その祈りによって今の弟があります。
 父親も家族のために祈る人になることが大事な事だと思っています。イエス様の父親となったヨセフもそういう人だったと思うのです。

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