子育て通信 #62

人間は神様に造られた

はじめに

 かつて中学校で教師をしていました時(もうかれこれ30年ほど前になります)、私は自分の受け持つ陸上部の生徒達のことがいつも気になっていました。どの教師もみなそうなのでしょうが、なんとか生徒達が生き活きと学校生活を送り、有意義な子ども時代を過ごして欲しいと願っていました。

 そんな中で陸上の練習をさせながら、効果的な楽しい練習は無いものかと色々工夫をしていました。そのためには生徒達もかなり協力をしてくれました。今思うとかなりの練習方法を編み出したと思います。それは陸上を専門的にやったことのない自分だからこそ考えついたとも言えるでしょう。

 今回はそういう中で編み出した練習方法ではないのですが、ある医学書(今となってはその本がどの本だったかわからないのですが)との出会いから、効果的だったことをお伝えしようと思います。

アルカリ化

 その本には人の体液のことが書かれていました。それは調子のよい時の人の体液はphがアルカリ化しているというものでした。反対に不調なら酸性化しているというのです。

 単純な私は生徒達の体液をアルカリ化させておくことができれば、陸上においても、勉強においても成績が上がるのでは無いかと考えたのです。

 例えば涙ですが、その時の報告では、うれし泣きに泣く涙のphはアルカリ化しているというのです。反対に怒りや強い悲しみから出てくる涙は酸性化しているらしいのです。つまり、わずかの時間の内に体液にも変化は起こり、嬉しい時には体液もアルカリ化して体調を良くし、怒りや悲しみ、憎しみのあるときには酸性化して体調も悪くなるというわけです。

 またある本で見たのですが、蛇ににらまれたカエルが身動きできなくなって、蛇に飲まれてしまう話です。蛇は口を開け、口から毒気(その本ではそう書いていました)を出しカエルに吹きかけているのだと。そうするとカエルはその毒気にやられて麻痺したような状態になり身動きできなくなるそうなのです。そして簡単に飲まれると書いていました。

怒りは人を殺す

 興味深かったのはそこから先でした。この毒気というのは蛇だけではなくて、人間も出すというのです。それが怒りに満ちた人の口からは相当の毒気が出るというのです。人を殺すほどの毒気ではないようでしたが、何らかの小動物なら殺してしまうほどだと書いていました。驚きました。もし、怒りに満ちて毒気を吐きながら子どもに話すとすれば、子どもに悪影響を与えるではありませんか。

 言われてみると聖書には「怒り」に対して多くの注意が書いてあるのです。

 「激しやすい者は争いを引き起こし、怒りをおそくする者はいさかいを静める。」(箴言15:18)

 「しかし、だれでも、聞くには早く、語るにはおそく、怒るにはおそいようにしなさい人の怒りは、神の義を実現するものではありません。」(ヤコブの手紙1:19-20)

 怒り自体が悪いとまで書いていませんが、それを正しく治める力を持つ必要を聖書は教えているようです。そうでないと、怒りは人を殺すことにもなるからです。

 テレビなどで見たことですが、ガン細胞をやっつける免疫細胞は人が笑うと増えるという報告でした。そのためにある病院では毎週落語家や漫才師を呼んで癌患者さんに笑ってもらっているそうです。完全に癌が無くなるというわけではありませんが、かなり効果が出ているということでした。この病院では患者さん同士でも互いに笑い会えるような話をするように勧めているそうです。

楽しいクラブを

 こうしたことを知ったので、クラブを楽しくできないものかと考えたのです。比較的勝つことを意識しますと、厳しさだけが増えてきます。厳しさは厳しさで大切ですが、楽しいと感じられる時間を大幅に増やしたかったのです。

 そこで早速、この体液のphの話をクラブのミーティングで話しました。彼らにも意識して欲しかったからです。すでに陸上部は先輩後輩が仲良くてクラブの雰囲気は大変良かったですから、この話は難しいものではありませんでした。

 これを基本にして練習方法にも楽しめる内容を考え出したのです。実際笑いの多いクラブになりました。そうして、本格的な陸上練習もしない内に記録が上がり出しました。走ること自体が楽しくなりました。サッカーやバスケット、バレーボールなどもして、楽しむことをしました。

勉強の成績も上がる

 この効果は陸上部の成績だけではありませんでした。勉強の方も伸びてきたのです。これにはもう一つの取り組みがあります。朝にグランドを走ったのです。生徒達もだんだん増えました。陸上部だけでなく、他の生徒達も授業前にグランドで走ったり、サッカーをしたりするようになりました。当然早く起きなければなりません。でも、そのおかげで早寝早起きが習慣付いてくるようになっていました。そうすると勉強の成績も自ずと上がるのです。

ほめられて

 こういうことをし出した時にとても有難いことがありました。それは陸上の試合から帰ってくる時のことでした。100名以上の部員を連れて試合に行きますので、電車では他のお客さんに迷惑ですから、クラブではマナーをいつも教えていました。(電車ではがら空きなら座っても良いが、そうでなければ立っていること。話は静かにし、出入りは速やかに、という基本的なことです。)  この日、帰りの電車はがら空きでした。かなりの生徒が座ることができました。何駅目かでおばあさんが乗ってこられました。一人の1年生の女子が空いている席の無いのを見て、すぐに立ち上がり、「どうぞ」と席を譲ったのです。その態度がすごくさわやかだったそうです。

 おばあさんは教育委員会に電話して「とても嬉しかったので、ひとことお礼が言いたくて、名札から学校は○○中学で○○さんでした」と。教育長から校長に電話があり、全校生徒集会の時に校長からおほめの言葉がありました。

 このおかげでますますみんな嬉しくなってきて、人に喜ばれることをしたいと願うようになったのです。それが嬉しいし、楽しいからです。結果的に陸上の成績も、勉強の成績も上がるのですから、すごいものです。

 子育ても「ほめて育てろ」とよく言われます。ほめさえすれば良いのでは無いでしょうが、ほめることで子どもの内側に嬉しい、という気持ちが起こり、喜びが出て、体液はアルカリ化するようです。そうするとがんばりもきくのです。やる気が起こるのです。

簡単に胃に穴があく

 私は以前に胃全体がびらん状態になり、数カ所から出血するという、胃炎になってしまたことがあります。5年近く病院通いしました。その時にお医者さんに聞いた話ですが、大きなストレスを味わうと数十分で胃に穴があくと言われました。おおらかな気持ちで、笑いを持つことで、癌に対する免疫力も増すように、胃壁は十分守られているそうです。ところが過剰ストレス(大きな悲しみ、怒りなど)を味わったりすると、この守りの力が失せ、胃液で簡単に胃壁に穴があくそうです。何と人間の体はすごい造りになっているのでしょうか。

そのように造られた

 人の体は神様によってそのように造られたのです。体の中を流れる体液、神経、脳、色々なものが複雑に絡み合い、人を元気にもし、弱くもするのです。

 喜びということもそうですが、愛やうれしさ、悲しみや憎しみ、怒りといった感情がどういう作用で起こってくるのかまだまだ解明されていません。もちろん聖書にもどういう化学的作用でそういう気持ちなどが起こるのかを説明はしていません。

 しかし、聖書は内から溢れる喜び、平安、感謝、愛などを持つことを勧めています。しかし、人間にはそれがなかなかできないことも教えています。時には自分を喜ばすがために、人を苦しめてしまう人間の罪を語ってもいます。

 人を良くする感情を持つことができれば何と幸せでしょうか。聖書は神様が人間を造ったと教えていますから、同時にどうすればそうした感情を持つことができるようになるかも教えているのです。(と言っても、クリスチャンと呼ばれる人が完全にこれらのものをもっているということではありません。もちろん捉えようと努力していますが)

その目的に従って

 子どもの発達段階を学んで思うことは、子どもの発達段階に沿った子育て・教育をしていくとその子なりに良い成長をするということです。それを無視して過剰な教育をする時に過剰ストレスが働きます。そして、子どもの心に、体に変調をきたし、親子関係にまでそれが現れることがあります。

 私が子どもの相談を受ける時はこうした点のバランスを考えてみるのです。神様の造った人間です。その神様の目的を見失わないでいけば何かしら良い発見があるものです。

愛の直感を働かせる

 しかし、人間は誰もが同じではありません。子どもだってみんな違います。誰もが顔の違いや、性格の違いは認めるのに、なぜか勉強や身体の大きさについてはやたら「平均」を気にして、同じようにあるいは「平均以上」を求めているのではないでしょうか。

 もっと子どもを見てあげたいものです。その子の良さをです。それを見つけ、ほめ、楽しませていく時、その子らしい成長を見ると思うのです。

 そこに愛による直感というものが必要だと思うのです。データや比較からだけでは見えてこないものを見抜く目は「直感」です。しかし愛から出てくる直感です。

 親も成長することが願われるのですが、それはこういう感性においてではないかと考えるのです。

 イエス様はまず12人の弟子をつくられましたが、彼らの性格を見て、それぞれにふさわしい訓練を与えられました。ここにまた教育の原点を見るのです。

 聖書から子育てを学ぶことは有意義なことだと思います。

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