子育て通信 #70

温かな雰囲気

体温が低い?!

 「最近の子どもたちは体温が低い」という話を聞いたことがあります。私の子ども時代には子どもたちの平熱は36.5~36.8度位だったと思います。最近は35度代の子どもがたくさんいると聞きました。皆さんのお子さんはいかがですか?

 体温が低いと体の不調が起こると聞いています。また切れやすい子どもになりやすいとも聞いています。

 温暖化の時代に体温は低下しているとは、何か変な感じがしますが、温度と人間の生き方は決して無関係ではないようです。



温かいご飯

 教師時代、私に色々なことを教えてくださった大先輩で3人の女の子を育てられた先生がおられました。一緒に養護学級の担任をして、一緒に家庭訪問をしました。一人の女の子がいつも暗い顔なので、その主任の先生は大変気にしておられたのです。

 家庭訪問をしてわかったのは、その子の家庭が貧しく、お母さんも働きに出ていて、家族そろって一緒に食事をすることがほとんど無かったことです。そして、お弁当はほとんどおかずが入っていなかったのです。彼女は温かいご飯をほとんど食べたことが無かったのです。

 そこで、その先生は自分のお弁当と共におかずを多めに作り、登校してきたその子のお弁当箱を開けると、おかずを詰めてあげておられました。冷めたおかずですが、彼女は大変喜んで食べていました。先生の温かさが伝わったと思います。

 現代は子どもも忙しい時代で、家族そろって温かいご飯を食べることが少なくなっています。確かに電子レンジで温めることはできるのですが、この先生のおかずのような温かさはどうでしょうか?



温かい交流

 また、先ほどの女の子は知的障害をもっていることから家に帰っても誰かと遊ぶということもなく、暗い表情で一日を過ごしていたようです。その延長で学校に来ても表情は暗かったのです。

 主任の先生は彼女が笑顔になることを望んで色々工夫されました。同じ養護学級の生徒達と遊ぶ工夫をされるのですが、なかなかみんなで遊びません。そこで、その主任の先生は私(その当時はなんと22歳という若さ)に「体を使って遊んであげて」と指示してこられました。最初は私もどんなことをすればいいのかわかりませんでした。そこで、養護学級の二人の男の子と遊び、その中に加わってくるように仕向けてみました。鬼ごっこやボール遊びなどをしていると男の子二人がすごく喜んでくれました。そして、「一緒にしよう!」と言うと彼女も加わってきたのです(こう書くといとも簡単に一緒に遊んだ感じになりますね。実際はここまでくるのにけっこうな時間がかかるのです)。時間はかかっても一緒に遊ぶようになりました。それが彼女にとってもとても楽しかったのか、学校に来るのを楽しみにしてくれたようです。下校時間になってもなかなか帰ろうとしないのは学校にいる方が楽しかったからだと思います。

 一緒に遊びだして少しすると彼女は声を上げて笑うようになりました。主任の先生は「あー、声を出して笑ってる!」と言って大喜びでした。友達との温かい交流が彼女に笑顔を与えたのです。

 家庭の中でも温かい交流が必要です(あたりまえなのですが)。



温かい家庭

 子どもの心は温められて成長すると私は思っています。温かいご飯を食べて、温かいお風呂に入って、暖かいお布団で寝るだけでも成長しそうですね。さらに、温かいお母さんの腕の中に抱きしめられる、お母さんの温かい手で背中をなでてもらう等々、いかがでしょう。

 「幼い時のスキンシップを大事にしてください」というのは多くの方が聞かれていると思います。赤ちゃんの時に温かい環境に置かれないと心が育たないと言われています。そして、その温かさをしっかり感じとった子どもは、大きくなっていってもその温かさを思い出すことで癒されるといいます。



何か足りなかったのかも?

 家庭というのは大人にとっても子どもにとっても体も心も安まるところです。家という建物が安らぎをくれるのではなくて、家庭という場所が安らぎを与えると思います。

 転勤で親元を離れた青年が一人暮らしを始めました。初めは親元を離れたことでの楽しみを感じていたらしいのですが、仕事を終えて疲れて帰って来てもそこは人気(ひとけ)のないさみしい家です。「コンビニの弁当や外食ばかりでは健康を害するから、自炊もするのよ」とお母さんに言われたことも守って結構自炊してきた彼。仕事の忙しさが一番の問題ではあったと思いますが、自炊もだんだんできなくなってコンビニ弁当になり、洗濯物もたまりにたまってしまいました。掃除なんかはする気力もなく、布団は敷きっぱなしで、遂に彼はうつ病になります。

 独り立ちすることは大事だし、一人で生活することも大切です。しかし、守られてきた子ども時代の家庭の温かさを思い出すだけではエネルギーが回復しない青年が多くいるようです。最近はどうしてこういう状況に見舞われる青年が増えたのでしょうか?

 子ども時代の家庭は温かだったと思います。そこは自分を癒してくれる場所であったという点では良かったのでしょうが、力をつける点では何か足りなかったのかも知れません。何かはその人によって違うと思います。



温かいことば

 聖書の
初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。
この方は、初めに神とともにおられた。
すべてのものは、この方によって造られた。造られたもので、この方によらずにできたものは一つもない。
この方にいのちがあった。このいのちは人の光であった。  (ヨハネの福音書1:1-4)
という言葉を聞いたことはありませんか? これはイエス様のことを言っているところです。イエス様は神様のことば(人格・思考等)だと言っています。

 人は言葉によって育ちます。言葉だけで育つわけではありませんが、教育にはかなり多くを言葉に頼っている部分があると思います。その言葉が温かいか冷たいかでは子どもの育ち方が変わるのです。当然、温かい言葉が必要なのです。そのよいお手本はイエス様の語られた言葉です。

 イエス様は不思議な方でした(イエス様は単に人間ではなく、神様なので当たり前なのですが)。イエス様にはその言葉に権威がありました。イエス様の言葉で病気の人は癒され、悪霊につかれた人からは悪霊が出て行き、嵐さえも静まりました。

 ただ、こうした力強い権威のある言葉だけでなく、人々の心が温かくなったようです。復活を信じられなかった弟子たちが、イエス様だとわからず一緒に話をしながら道を歩いていました。イエス様が離れた後、彼らにはそれがイエス様だとわかったのでですが、さっきまでのことを思い出すと
そこでふたりは話し合った。「道々お話しになっている間も、聖書を説明してくださった間も、私たちの心はうちに燃えていたではないか。」  (ルカ24:32)
と言っているのです。イエス様の死しか知らないで、絶望の中にあった弟子たちが心燃やされたのです。

 言葉は人を生かしも殺しもします。殺す言葉ではなく、人を生かす言葉が多い世の中になって欲しいと思います。

 私たちもイエス様の力ある言葉、温かい言葉をたくさん心に蓄えて、子どもたちに温かい言葉を語っていく大人となりたいものです。そして、子どもたちの内側からエネルギーが湧いてくるようになって欲しいのです。



笑顔

 温かさというのは顔に表れます。子どもたちはお母さんの笑顔が大好きです。「子どもの好きな人」の一番が「お母さん」です。そして、お母さんに望むことで大変多かったのが「お母さんに笑って欲しい、ニコニコしていて欲しい」というものでした。

 子ども達にとってお母さんというイメージは「優しく」て「明るい」というのが一番多いようです。同時にお母さんがブスッとしていると子ども達も気になるのでしょうね。お母さんのにこにこ顔を見たいのです。

 そのためにはお母さんが笑顔になれる心の状態が必要なのです。と言ってもお母さんも人間です。笑顔になれない時もたくさんあるでしょう。いつも笑顔でいられたらすばらしいと思いますが、いつもでなくとも、笑顔の多いお母さんになることはできると思います。

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