子育て通信 #81

子どもは変わったのか?

どうなっているの?

 2004年6月1日に長崎県佐世保市の大久保小学校で6年生の女の子が同級生の首をカッターナイフで切りつけ殺害するという大変ショッキングな事件がありました。こんなことは今まで考えられなかったことです。

 そして、子どもの自殺、子どものうつ病、子どもの成人病(生活習慣病)など、かつての子どもたちが体験したことのないことが現代の子どもたちを襲ってきています。

 果たして子どもは変わってしまったのでしょうか? また変えたのは何でしょうか?

テレビ

 私が5歳になるまで、我が家にはテレビはありませんでした。(洗濯機や、掃除機、冷蔵庫などといった電化製品が一気に昭和30-40年頃にやって来たように感じます。)テレビもどんどん変化し、アナログからデジタル、3Dへと。放送内容も大きく変わりました。テレビが子どもたちに与えた影響は相当のものです。

 テレビ時代は長く続いています。今もテレビは生活に無くてはならない電化製品くらいにだいたいどこの家庭にもあるでしょう。子どもたちの幼稚園や学校での話もテレビの内容が多く、男の子は「○○レンジャー」とか言って、テレビのまま真似します。女の子の間で流行った「セーラームーン」もすごかったですね。

ゲーム

 こういうテレビ時代が続く中、ゲーム時代が割り込んできました。子どもたちの関心はテレビをやめてゲームになったわけではありません。テレビもゲームも両方なのです。体を動かす遊びの時間が減りました。

 「ゲーム脳」という言葉も出て、ゲームに集中している子どもの脳は前頭前野が使われていないという衝撃的な発表もあり、ゲームからのリハビリをがんばる家庭もたくさんありました。しかし、お父さんまでもがゲームにはまり、ゲームから逃れるのは容易ではありませんでした。

インターネット・携帯

 そうこうするうちに、世の中はコンピューター時代・IT時代になり、子どもたちもパソコンでゲームをしたり、さらにはゲーム機も大幅に変わってきました。そこに携帯電話が子どもたちにも普及し出しました。携帯メールは「ゲーム脳」と同じ「携帯脳」の問題を引き起こし、携帯で音楽、ゲームを楽しむことも出来るようになりました。そればかりかインターネット犯罪に巻き込まれたり、自ら犯罪を犯したり、性的な問題のあるサイトにつなげたりと、私たちの子ども・青年時代には考えられないような事態になりました。

 携帯をするから、ゲームをしないテレビを見ないのではなく、どれもしますから自ずと昔の子どもたちのように体を動かして遊ぶ時間はぐんと減りました。勉強の面でも忙しくなっていますから、余計に遊べません。遊びがゲームや携帯になっています。

いじめ

 昔もいじめはありました。でもよく「今のいじめは昔と違って陰湿だ」と言われますように、昔のいじめは確かに陰湿なものは少なかったと思います。友達とのケンカなども兄弟ゲンカなどで結構慣れていて、程度をわきまえていました。しかし、今はいじめという言葉で処理され、とんでもない怪我を負わせるものまで出てきています。これがため「自殺」する子どももたくさん出ました。

 また、いじめの問題は「不登校」も生み出しました。全ての不登校の原因がいじめによるわけではないですし、どれくらいの割合でいじめによって不登校になったのかも分かりませんが、私のところに相談に来られたケースでもいじめから不登校になったケースはたくさんありました。

体の変化・心の変化

 子どもたちが遊び回れる環境が少なくなり、食生活が変わり、子どもたちの中には肥満の問題を抱える子どもも増えました。今ではメタボリックシンドロームという言葉もありますが、体を支える骨は未熟なのに脂肪はしっかりとついて、動きが鈍り、体の諸器官も活動が鈍ったり、かつての成人病(生活習慣病)になる子どもたちも増えました。子どもなので成人病と言えなくて、大人と似たような症状が出る子どもが増えましたが、大人と同じにはできない、不思議な状態です。

 食の問題は幅広く、栄養の問題だけではなく、「孤食」等に見られる食事風景の変化等もあります。昔は冷蔵庫や電子レンジも無く、家族揃って温かいうちに食べると言うことが当たり前でした。それが、仕事が遅くまで続くお父さん、塾で遅くなる子どもなど、家族の生活時間が変わり、一緒に食事をすることもままならなくなったというわけです。

 また、ファーストフード、インスタント食品、コンビニ食の普及によって家庭の味が失われ、味の濃いものなどが出回るようになりました。もちろん栄養の偏りもあります。

 こうしたことで子どもたちの体型だけでなく、心の方にも影響が出てきています。「イライラする」、「ジッとしていられない」、「落ち着きがない」、「体温が低い」、「朝起きれない」反対に「夜更かしする」、「まっすぐ立っていられない」「忘れ物を頻繁にする」「腰痛や肩こり」、等々あります。

何が大事なのか?!

 子どもが変わったというよりも環境が変わったのではないでしょうか?人間は環境が変わっても大きく変わろうとしない力強さを持っていますが、反面かなり環境に影響される部分があることは認めざるを得ません。

 子どもたちの脳に現代社会は何を入れ込んでいるのでしょうか? 脳に入ったものが子どもたちに影響するのは当然です。

 イエスは答えて言われた。「『人はパンだけで生きるのではなく、神の口から出る一つ一つのことばによる』と書いてある。(マタイの福音書4章1-4節) という有名な聖書の言葉がありますが、神様の言葉を心に蓄えることをあまり教えていないような気がしませんか?

セイフティ教室で

 先日、ある中学校で行われた「セイフティ教室」つまり薬物に関する授業を見学に行きました。ダルクの方が来られて、ご自分の体験を語ってくださいました。

 --ダルク(DARC)とは、ドラッグ(DRUG=薬物)のD、アディクション(ADDICTION=嗜癖、病的依存)のA、リハビリテーション(Rihabilitation=回復)のR、センター(CENTER=施設、建物)のCを組み合わせた造語で、覚醒剤、有機溶剤(シンナー等)、市販薬、その他の薬物から開放されるためのプログラムを持つ民間の薬物依存症リハビリ施設です。--(インターネットより)

 この方達はシンナーや覚醒剤にはまり、依存症になってしまったのです。そこから回復したくてダルクに入り、回復していかれたのですが、一度薬物依存になるともう元の体に戻れないと言います。この方達も同じ事を言われ、ダルクの職員をしているけれど、同時に自分自身のリハビリを続けているのだと言われました。

 脳の記憶はすごいものだと思いました。また恐ろしいものだと思いました。覚醒剤や薬物、シンナーの快感を一度覚えることで、それを求め続け、体も心もボロボロになっていくのです。「15歳の時にはじめてやった覚醒剤の快感は今もよーく覚えています。だから今も闘いなんです」と言われた言葉にはビックリしました。

 この方達は危ない環境にもともとおられたわけではありません。小学生・中学生の時期の友人関係の中でだんだんタバコや万引きという方向に進んだのです。親は全く知りません。また、いじめを受けて学校を休むようになった方もあります。一旦家を出て、そっと家に帰り、夕方まで押し入れに隠れていたそうです。それでも親は知りません。

 この方達の話を聞いていて、現代の子どもたちは誰でも親の知らないうちに薬物に触れる機会があると思いました。きっかけは友人、先輩などのちょっとしたこと、タバコやアルコールなどです。良くないことだとわかっていても、友人を失いたくない等の思いから親に隠れて危ない世界に入り込んでいくのです。自分の部屋はそのタバコを吸う部屋であったり、麻薬や覚醒剤をやる部屋になっているのです。

 覚醒剤を買うためにお金がいるので、万引きや恐喝、あるいは友人に覚醒剤を売って、そのお金で自分のための覚醒剤を買うらしいのです。それらのことがほとんど親に知られない闇の中で行われるのです。

 現代の子どもの心の扉は開かれているのでしょうか? 閉じているのではないでしょうか? 誰が彼らの心の扉を開くことができるのでしょうか?

 ダルクに行けた人達は幸いだったかも知れません。しかし、ダルクに行ってもそのリハビリが嫌で一時の快楽を求めて、前の危ない生活に戻る人もあります。

 しかし、その心はもがいています。助けてくれる人はいないのかと。私はここにもイエス様こそ助け主だと思うのです。

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