安心感を持たせたい
安心感の土台
私は「子育ての会」でずっと語ってきたことの一つに「安心感の土台の二重構造」というのがあります。
それはどのようなものかと言いますと、第一の土台は記憶に残っていないけれど無くては困る「安心感」で、これがむしろ人生の最後まで残るであろうと思われる心の中心です。
第二の土台は記憶として思い起こせる「安心感」の土台で、幼児期にお父さんやお母さんに何かをしてもらった、安心する言葉をもらったというような、記憶を呼び起こすことのできるものです。
この言い方は私の個人的な言い方、個人的見解ですので、もっと良い説明の仕方があったり、あるいは脳科学の研究が進むことで、私の考えが間違っていたということが起こるかも知れません。
しかし、今のところこの考えで子育てを考えるとわかりやすいと思いますので、私流の言い方でお話しをさせていただいています。
今回も参考図書としていのちのことば社の「幼い子を持つ親のための7章」から引用させていただきます。
安心感が無いと
子どもはおなかの中にいるときからすでに「安心感」をもつことを始めています。子どもの生きる力の根底にある「安心感」は親からもらうのです。
ですから、所有欲の強すぎる親のもとでも放任すぎる親のもとでも、子どもは「安心感」を得ることは難しいと言われています。
「子どもを自分の所有物のように考えている親のもとでは、愛情は創造的であるよりも破壊的に働く」とピーター・ベルトリチィは言います。
子どもが寝る時に幼い時から愛用していた毛布をかけたり、大好きなぬいぐるみを抱っこすると安心して寝るというのをご存知かと思います。それで安心して眠れるのです。つまり、子どもの中には「これで安心できる」というものが無いと生きていけないのです。
では、安心と反対の「不安」を考えてみましょう。
不安感を強めるもの
子どもの心に不安を植え付けるものにはどんなものがあるのでしょうか?
a.親のいさかい
10代で薬物乱用に走った子どもたちの三大要因は、
- 親の不和
- 自己嫌悪からの変身願望
- 仲間にそそのかされて
というものだそうです。
親のいさかいというものは子どもの心を落ち着かなくさせます。不安感を満たしてしまうのです。
b.引っ越し
私たちも引っ越しの経験がありますのでよくわかりますが、環境の変化は確かに大きなストレスです。引っ越す前には「友達ができるだろうか?」という不安があり、引っ越しをすれば当然クラスの仲間に対して不安が湧き起こるでしょう。
c.適切なしつけの欠如
子どもは親がどこまで許すか試しているところがあるものです。親の決めた囲いの中では安心して行動できるのです。その囲いがはっきりしている方が安心できるのです。その囲いが日によって違うと子どもは不安になります。
親がしてはいけないと言ったことをしてしまった時は「ダメ」と示されてその囲いを確認することが大事です。
d.両親の不在
昔よく「カギっ子」と言いましたが、今のように学童保育も無く、家に帰ると親のいない子どもたちはさみしがったものです。そこには友達の家にはみんなお母さんがいて「おかえり」と言ってくれるのに、自分のところだけはそれがないと言って寂しがるのです。
現代は多くの家庭が不在状態です。昔のようなことは無くなったかも知れません。学童保育や塾等々でさみしさを紛らせることができているのかも知れません。
しかし、基本的に子どもたちは親の温かい言葉を期待しているのです。「ただいま」に対して「おかえり」と反応があることをです。
e.絶え間のない批判
直接子どもに対する批判はもとより、家族同士の批判も子どもには辛いのです。子どもはお父さんも大好き、お母さんも大好き、おじいちゃんも、おばあちゃんも大好きなのです。その互いの間で批判がなされますと、まだまだ単純な思考の頭しかない子どもには、その批判を正しく受け止めることができず、内側に苦しみを持つのです。
家族が互いに拒否し合うように見えてしまうと子どもは辛いのです。
子どもがひどく拒否感を感じるのは、
- 自分は親から嫌われていると感じる場合
- 親から絶えす批判されていると感じる場合
- 親が十分な時間を共有してくれていないと感じる場合
- 親が子どものことを軽視しているに違いないと思わせる処遇を受けた場合
- 子どものために喜んで親がことをなすよりも、いやいやながら、あるいは何でも「おまえがかわいそうだから」といった殉教者気取りで事に当たる場合
等々だそうです。
f.心を与えずに物を与えること
子どもは物より愛情を欲しがっていることは誰もがよくよくわかっていることです。仕事で度々家を空けるお父さんがどんなに高価なおもちゃを買ってくれても、お父さんといることの方を願うのはあたりまえです。
よいことをしたからと褒美をもらう、よい点をとったら何かを買ってもらうということにだんだん慣れてしまうと心の無い子どもに成長してしまいます。
g.不安感の強い親
子どもは親の気持ちをすぐに感じとるものです。
子どもの前で生活苦のことや人間関係の不安など不安の伴うことを多く話していると子どもはそれを受けとってしまいます。
親がおおらかでいると子どもも比較的おおらかです。反対に神経質ですと比較的神経質になりやすいです(もちろん、すべてがそうなるわけではありません)。
親の生き方というものが大事になるのです。
安心感を築き上げるもの
では、安心感を築き上げるもにはどんなものが考えられるでしょうか?
a.父親と母親との信頼感
言うまでも無いのですが、父親と母親が互いに信頼しあっている姿を見るのは子どもにとって安心できる一番のものです。
ここには親が互いを信頼する愛を持っていることが前提になります。その愛は自分が人から愛されている、さらにはもっと大きな愛である神様に愛されているとう確信を持っていることで満たされてくるのです。
子どもはいずれ自分も神様に愛されていると確信を持つことができると、しっかりした安心感をもつことになるのです。
b.持続的な愛
長期入院していた子どもが退院する時「病院の友達が、入院中ボクを大事にしてくれたから、ボクはこれからどんなことにも耐えていけると思う」と言いました。大事にされたという経験はそこから先の人生に大きな影響力を持っています。親に愛されただけでなく、愛され続けていることです。これも神様が私たちを永遠に愛していることを理解できるようになると大きな安心感となります。
c.家族が共にいること
d.一定の時間を確保すること
子どもは長い時間でなくてもよいのですが、一緒に過ごしたというしっかりした時間が必要です。
e.適切なしつけ
f.子どもと触れ合うこと
抱きしめ、スキンシップは子どもを安心させます。
g.帰属感
子どもの誕生日にどんなに高価なプレゼントをするより、たくさんの友達を呼んでパーティを開くよりも、「あなたがこのうちに生まれてくれて本当に嬉しいのよ!」という言葉が最高なのです。
参考図書:幼い子を持つ親のための7章 (いのちのことば社)