イエスの不思議な系図
2025/11/23 礼拝説教
【テーマ】 イエスの系図
【説教題】 「イエスの不思議な系図」
【聖書箇所】 マタイ1:1-17
1:1 アブラハムの子、ダビデの子、イエス・キリストの系図。
1:2 アブラハムがイサクを生み、イサクがヤコブを生み、ヤコブがユダとその兄弟たちを生み、
1:3 ユダがタマルによってペレツとゼラフを生み、ペレツがヘツロンを生み、ヘツロンがアラムを生み、
1:4 アラムがアミナダブを生み、アミナダブがナフションを生み、ナフションがサルマを生み、
1:5 サルマがラハブによってボアズを生み、ボアズがルツによってオベデを生み、オベデがエッサイを生み、
1:6 エッサイがダビデ王を生んだ。ダビデがウリヤの妻によってソロモンを生み、
1:7 ソロモンがレハブアムを生み、レハブアムがアビヤを生み、アビヤがアサを生み、
1:8 アサがヨシャファテを生み、ヨシャファテがヨラムを生み、ヨラムがウジヤを生み、
1:9 ウジヤがヨタムを生み、ヨタムがアハズを生み、アハズがヒゼキヤを生み、
1:10 ヒゼキヤがマナセを生み、マナセがアモンを生み、アモンがヨシヤを生み、
1:11 バビロン捕囚のころ、ヨシヤがエコンヤとその兄弟たちを生んだ。
1:12 バビロン捕囚の後、エコンヤがシェアルティエルを生み、シェアルティエルがゼルバベルを生み、
1:13 ゼルバベルがアビウデを生み、アビウデがエルヤキムを生み、エルヤキムがアゾルを生み、
1:14 アゾルがツァドクを生み、ツァドクがアキムを生み、アキムがエリウデを生み、
1:15 エリウデがエレアザルを生み、エレアザルがマタンを生み、マタンがヤコブを生み、
1:16 ヤコブがマリアの夫ヨセフを生んだ。キリストと呼ばれるイエスは、このマリアからお生まれになった。
1:17 それで、アブラハムからダビデまでが全部で十四代、ダビデからバビロン捕囚までが十四代、バビロン捕囚からキリストまでが十四代となる。
マタイ1:1-17
○ 今日のテキストは読むのが嫌になった人も多いかと思います。カタカナが沢山並んでいます。新約聖書を読んでもらいたいなら他の福音書を第1番目に持ってきた方が良かったかも知れませんね。実際のところ、マルコの福音書が一番先に書かれたのですからマルコの福音書が最初の方が良かったのではないか、とも言われます。しかし、マタイの福音書が最初なのには理由があります。
系図と西暦
ユダヤ人は系図を重んじた
1.マタイはユダヤ人のためにこの福音書を書いています。そのユダヤ人は系図を重んじています。まして、救い主のことが旧約聖書で約束されているのですから、イエス・キリストがその救い主であることを伝えなければなりませんでした。この系図は旧約聖書から続いていることを示しているのです。突然、神の計画が変わって新約聖書ができたのではないのです。旧約聖書からの続きだということです。
2.マタイの系図では、アブラハムからヨセフまで進みます。イエスを生んだマリアはこの系図の最後に登場したこのヨセフの妻と書かれているのですが、イエスはヨセフの子ではないのです。神の子です。
イエス誕生から生まれた西暦
1.日本では今もなお元号を使っていますが、今も元号を使っている国は日本だけといいます。昔はそれぞれの国で「○○王の△年」などと呼ばれていましたが、西暦がつくられ、今や全世界で使われています。イエスの誕生を起点として西暦(A.D.)がつくられました。
2.つまりイエスの誕生年がA.D.1年だったのですが、その後の計算でイエスの誕生はそれよりも少し前だったということがわかり、B.C.4~7年と言われています。ちょっと変な感じです。しかし、世界中が、全ての人の救い主イエス・キリストの誕生を認めているわけです。
4人の女性
ユダヤ人女性
1.当時、ユダヤ人は系図に女性を載せることはまずなかったと言います。ところがマタイはこの系図にマリア以外に4人の女性を載せています。3節のタマル、5節のラハブとルツ、6節のウリヤの妻(バテシェバ)です。
2.タマル(創世記38章)については ユダがタマルによって と、ユダの子どもを生みますが、タマルはユダの長子エルの妻でした。その夫エルの死後、彼女は遊女を装って義父ユダを欺いて、不義の関係をもって双子の ペレツとゼラフ とを生みました。この罪は決して小さな罪ではありません。
3.そして ウリヤの妻 つまりバテ・シェバ(Ⅱサムエル記11章)ですが、彼女はダビデの大きな罪の結果妻になった女性です。ダビデはユダヤ人の尊敬する王で、信仰の王でしたが、残念なことに肉欲の虜になりウリヤの妻と関係をもってしまい、それを隠すためにウリヤを最前線に送って死なせました。ここでマタイはバテ・シェバと言わず ウリヤの妻 と言って、ダビデの不義をあからさまにしています。
異邦人女性
1.あと異邦人のラハブとルツがいますが、ラハブに関しては異邦人とみなさない人もいるようです。ただ ラハブ (ヨシュア2章)は遊女でエリコの城壁に組み込まれた家にいました。エリコの町を調べに来た斥候二人をかくまって助けたことでエリコの町が陥落した時に助けられました。そして、ヨシュアの配下の将サルマの妻となり、ボアズを生んだ女性です。
2.そして、 ルツ ですが、彼女は異邦人で、モアブ人というユダヤ人の嫌った民です。モアブ人はケモシュの偶像に仕えていました。モアブ人の血が混じった場合には十代、十の世代が変わらないとその血はきれいにならない、つまり純粋のユダヤ人に戻らないと考えていたそうです。
マリアから生まれたイエス
罪人の中に送り込まれたイエス
1.マタイはユダヤの救い主、いえ、全世界の救い主の誕生に関わる系図を書くのですが、こうした女性達を書き込んでいます。ユダヤ人は立派な人たちによる系図を造り上げたかったでしょう。ヘロデ王は自分の系図を立派なものに見せたくて、自分の本当の系図を知っている役人を殺して、偽の立派な系図を作ったと言われています。しかし、イエスの系図はそうした偽の作りものではなく、本当のことを記しているわけです。
2.マタイがあえて喜んで伝えることのできそうにない女性を4人も系図に載せているのは、ユダヤ人も、異邦人も、罪深い私達みんなの救いのために来てくださったのがイエスだと示したかったのでしょう。神が立派な人たちの系図の中に神の子イエスを誕生させたのでは無く、罪人の中に送り込んでくださったと言うことです。
人の系図を超えたイエス
1.しかし、そんな罪深い人間の中から罪のないイエスが誕生しているのはすごいことだと思いませんか。ユダヤ人に約束されたアブラハムの子孫、ダビデの子孫として救い主が誕生します。しかし、決して彼らの罪まで引きずっておられません。 1:16 ヤコブがマリアの夫ヨセフを生んだ。キリストと呼ばれるイエスは、このマリアからお生まれになった。 と、その系図はヨセフまで来ていますが、イエスはヨセフの子ではないことを示しています。
2.イエスはユダヤ人としてお生まれになったのですが、その本質は「神」です。系図的には「神はマリアによってイエスを生んだ」とでもなるのではないでしょうか? ここに全く違う系図があるとも言えます。
★ 全ての人を救うためにイエスは神の位を捨ててこの地上にお出でになりました。マタイはそれを系図で旧約聖書の成就であることを示しつつ、全ての罪人の救い主であることを伝えようとしました。何と感謝なことでしょう。私達異邦人も、どんな罪人もこのイエス・キリストによって救われるのです。
Posted by shinnakano
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