虹
Ⅰ列王記8:48-50

破局で終わりはしない!

礼拝メッセージ

【説教者】藤井敬朗師
【テーマ】 神はあわれみ深いお方
【説教題】 「破局で終わりはしない!」
【聖書箇所】 Ⅰ列王記8:48-50

8:48 捕らわれて行った敵国で、心のすべて、たましいのすべてをもって、あなたに立ち返り、あなたが彼らの先祖にお与えになった彼らの地、あなたがお選びになったこの都、私が御名のために建てたこの宮に向かって、あなたに祈るなら、
8:49 あなたの御座が据えられた場所である天で、彼らの祈りと願いを聞き、彼らの訴えをかなえて、
8:50 あなたの前に罪ある者となったあなたの民を赦し、あなたに背いた、彼らのすべての背きを赦し、彼らを捕らえて行った者たちの前で彼らをあわれみ、その者たちがあなたの民をあわれむようにしてください。

Ⅰ列王記8:48-50

○ ダビデのいた時代BC1000年頃というのは日本では縄文時代・弥生時代の変わり目くらいでしょうか? その頃の日本は比較的安定していたようですが、イスラエルは国が分裂し、さらに信仰は揺れ動き、国がなくなるという大変なことになっていました。そのことが書かれているのが列王記と歴代誌です。

破局で終わりはしない!

イスラエルの分裂と滅亡

イスラエルの滅亡の原因

    1.イスラエル王国は120年間続きました。サウル王のもとで40年、ダビデ王のもとで40年、ソロモン王のもとで40年です。その後、イスラエルは10部族が形成した北イスラエル王国と、残りユダ族とベニヤミン族による南ユダ王国に分裂します。北王国は200年ほど続き、BC722年にアッシリアに滅ぼされました。南王国は300年ほど続きBC586年にバビロニアに滅ぼされました。いわゆるバビロン捕囚です。

    2.分裂した北イスラエル王国はBC932年~722年までに19人の王が立ちましたが、ほぼ全員が偶像礼拝に流れる信仰的には悪王でした。預言者が迫る悔い改めのメッセージを聞かず、偶像礼拝が続いたのです。

    3.一方、南ユダ国は北イスラエル国に比べると悪王が続くことはなく、20人の王が続きましたが、信仰的に悪しき王もあれば、善王もいました。最も良かった王はヨシヤ王で、彼は8才で即位し、31年間王でした。彼は徹底して偶像を取り除きました。が、その後の王は悪王達で遂に神はユダ国をバビロン帝国によって滅ぼされるのでした。

イスラエル分裂の原因

    1.さらにそのイスラエル滅亡に至る原因はソロモンにまでさかのぼります。滅亡に至る前に国が分裂します。その原因はソロモン王の背教です。 Ⅰ列王11:2 この女たちは、【主】がかつてイスラエル人に、「あなたがたは彼らの中に入ってはならない。彼らをあなたがたの中に入れてもいけない。さもないと、彼らは必ずあなたがたの心を転じて彼らの神々に従わせる」と言われた、その国々の者であった。しかし、ソロモンは彼女たちを愛して離れなかった。 (参考:出エジプト34:11-16、申命記7:1-5)と、異国の女性を愛して、彼女たちを国内に招き入れ、その宗教まで彼は受けれてしまったことにあるのです。

    2.続く聖書の言葉にはこうあります。

    11:6 こうしてソロモンは、【主】の目に悪であることを行い、父ダビデのようには【主】に従い通さなかった。
    11:9 【主】はソロモンに怒りを発せられた。それは彼の心がイスラエルの神、【主】から離れたからである。主が二度も彼に現れ、
    11:10 このことについて、ほかの神々に従っていってはならないと命じておられたのに、彼が【主】の命令を守らなかったのである。
    11:11 そのため、【主】はソロモンに言われた。「あなたがこのようにふるまい、わたしが命じたわたしの契約と掟を守らなかったので、わたしは王国をあなたから引き裂いて、あなたの家来に与える。
    11:12 しかし、あなたの父ダビデに免じて、あなたが生きている間はそうしない。あなたの子の手から、それを引き裂く。
    11:13 ただし、王国のすべてを引き裂くのではなく、わたしのしもべダビデと、わたしが選んだエルサレムのために、一つの部族だけをあなたの子に与える。」

      このように、主に従い通さなかった罪で、イスラエルは分裂し、さらに滅ぼされることになるのです。

回復の預言

神はイスラエルを救いたい

    1.神はこのイスラエルを放っておかれたと思いますか? 王をはじめとしてイスラエル人が神に立ち返るように何度も何度も預言者を通じて語っておられたのです。有名なエリヤ、エリシャ、イザヤ、エレミヤ等々です。彼らは偶像礼拝をやめて真の神に立ち返るようにと語りました。悔い改めないと国は滅びると語っていたのです。

    2.しかし、王はその警告を無視したために国は滅びることになるのです。偶像礼拝をしたからすぐに滅びたのではありません。預言者達が何度も語っているのに無視し続けたからです。悔い改めて預言者の言葉に従うならイスラエルを救われるのです。

預言者はイスラエルの回復を預言した

    1.エレミヤは次のように預言しました。 エレミヤ29:10 まことに、【主】はこう言われる。『バビロンに七十年が満ちるころ、わたしはあなたがたを顧み、あなたがたにいつくしみの約束を果たして、あなたがたをこの場所に帰らせる。 70年は長いですが、その苦しみの中でもダニエルたちのように信仰を保ち続ける人がいるのです。

    2.神が預言者にこのようにメッセージを語らせられたのは、捕囚の苦しみの中で悔い改めることを知っておられたからです。これは神からの預言ですから外れるというようなものではありません。必ず実現するのです。イスラエルは70年の後にエルサレムに戻ってきました。

回復の祈り

ソロモンは祈っていた

    1.ソロモンはⅠ列王8:22からの祈りで今日のテキストの言葉を祈っていました。 

8:48 捕らわれて行った敵国で、心のすべて、たましいのすべてをもって、あなたに立ち返り、あなたが彼らの先祖にお与えになった彼らの地、あなたがお選びになったこの都、私が御名のために建てたこの宮に向かって、あなたに祈るなら、8:49 あなたの御座が据えられた場所である天で、彼らの祈りと願いを聞き、彼らの訴えをかなえて、8:50 あなたの前に罪ある者となったあなたの民を赦し、あなたに背いた、彼らのすべての背きを赦し、彼らを捕らえて行った者たちの前で彼らをあわれみ、その者たちがあなたの民をあわれむようにしてください。 

破局を迎える前にすでに祈っていたのです。そして、この祈りは聴かれ、後にイスラエルは回復するのです。

    2.ソロモンにはイスラエルが分裂し、捕囚の民となることわかっていたのでしょうか? 神はソロモンに知恵を与えられましたから、彼自身にわかっていなくても、聖霊に導かれて祈った可能性があります。このようにかなり前に祈っていた祈りを神は聴いてくださったといえます。

私たちも祈り続ける

    1.私たちも人々の救いのために祈り、トラクト配布しています。なかなか救われることはありません。それでも、私たちは祈り続けるのです。それは神が祈りを聴かれると約束しておられるからです。そして、私たちもそのことを信じているからです。

    2.しかし、祈ったからすぐに聴かれるというのでもないようです。ソロモンの祈りが聴かれているように、私たちもたとえ祈りをやめてしまっていたとしても、あの時に祈った祈りが神には届いているものなのです。その祈りは人を救うのです。

● 祈り続けているのにまだ救われていない人がいますか?「イエスを信じないと滅ぶよ!」という思いを持ちながら、もなかなか信じてくれない人に対して、「もうこの人はだめだ」と思ってしまうことさえあるかも知れません。それでもイスラエルが一度滅びを体験しても神は復興されたように、祈りは届いているのです。

★ 人生終わったと思えるような事態が生じても神は終わりにはされないのです。神が終わりにさせないのは基本的に祈りです。本人の祈りもありますが、他の人の祈りだってあります。以前の祈りが聴かれているように、私たちは今からも新たに救いを祈ろうではありませんか。何年も後になって祈りが実現するかもしれません。