無料の学習塾
新聞記事より
2023年6月3日、朝日新聞の天声人語を引用させていただきます。
大学生がはじめた無料塾
きょう、学校で何があった?そんな、よくある問いかけも、あえてしないのだという。なぜなら、誰もがみんな、学校に行っているわけではないから。学校に行かないことを気にしている子もいるから。きょう、何があった?それでいい▼中央大学4年の吉沢春陽(はるひ)さん(21)はいま、そんなことをいつも考えながら「かわさき芽吹(めぶき)塾」の代表を務めている。経済的に困窮する家庭の子どもや、不登校の子ら40人の中高生に無料で勉強を教える塾である。講師はすべてボランティアの大学生。運営は寄付などで成り立っている▼始めたのは2年前。日本の子どもの7人に1人が貧困に苦しんでいる。そう書かれた新聞記事を読んだのがきっかけだった。「自分は恵まれていたんだと気づきました」▼授業の様子を見せてもらった。土曜の夕方、川崎市にある公共施設の一室に、若者が集まってくる。講師と生徒はほぼ一対一。「おー、いいねえ」「いえー」。友達同士のような会話が聞こえる。何やら楽しそうだ▼いまや無料の塾は全国にある。学校の授業についていけない。お金のかかる塾に行けない。「居場所」がない。そんな子どもたちの大切な学び場だ。でも、では、そもそも学校って何なのだろう。素朴な疑問も頭をよぎる▼「やる気があるから、みんな学力の伸びがすごいんです」と吉沢さん。別れ際に尋ねてみた。いま何が大事だと思いますか。「人情と、思いやりです」。はにかんだ笑顔と一緒に、そんな答えが返ってきた。
2023年6月3日 朝日新聞 天声人語
二人の中学3年生
この記事を読んで、懐かしく思い出したのは30年以上前の事だったでしょうか。教会に遊びに来ていた中学生の女の子二人がいよいよ3年生になったのですが、高校に入れそうにないと聞きました。学校のテストを見せてもらうと確かにひどい点数でした。二人に聞くと高校には行きたいというので、勉強をみることにしました。もちろん無料です。
週の内2~4日、放課後に教会に来てもらって、国語、英語、数学をみました。真面目にしてくれましたが、とても中学校の勉強ができません。小学校からやり直しです。英語はアルファベット自体が読めませんでした。しかし、教えたことがスーッと入っていく感触を味わえました。どこで勉強に躓き、やる気を失ったのかわかりませんでしたが、私との勉強ではやる気を見せてくれました。おやつの時間が楽しみというのもあったみたいです。
しばらくして、彼女たちの中学校の担任の先生から電話があり、教頭先生と二人で教会に来てくださいました。菓子折を持ってです。二人が担任に話したみたいで、お礼とお願いで来られました。菓子折と共に預かったのは3科目の問題集でした。かなり易しい問題集でこれは私も助かりました。小学生のどこでつまづいたかを確認して、さらに受験にも効果のある勉強、かつ3年生の試験でもいくらか点数を取れるように工夫してみました。大学生時代、家庭教師をしていたのが役立った気がします。
合格!
二人とも高校に入学できました。合格を伝えに来てくれたときの彼女たちの笑顔は忘れられないですね。
そして、何年後だったか(もう東京に来ていたのですが、幼稚園の講演会で高槻に戻った時)、ワゴン車の運転席から「先生」という声がして、(一体誰だろう?)と見ると、あの時の面影を残した彼女でした。「先生、私結婚して、子どももいるのよ」と、少し窓越しに話をして別れました。高校に入学したときもホッとしましたが、お母さんになった彼女を見てまたホッとしました。
教えてくれる人
人生で人格形成をしていく子どもの時期や思春期にたくさんの勉強をしますが、同時に勉強がわからない子、できなくなる子がいます。勉強ができる、授業内容がわかると楽しいものですし、成績が上がります。しかし、自分だけではどうしても勉強ができないとなると、助けてくれる人がいると本当に助かります。
この新聞記事のように無料で教えてくれるところが増えているというのはとても嬉しく感じました。
私もそういうことができればと思いましたが、年々忘れることの方が増えてしまい、とても教えることができなくなってしまいました。
数年前、やはり中学3年生の女の子三人の勉強を見ました。私は数学は得意だったのですが、公式など結構忘れていて、解答を導くのに苦労しました。教科書を見て思い出しながら教えました。
英語はアルファベットがまともにかけない子に、単語が書けるようになるまで何度も繰り返しが必要でした。繰り返しは勉強の基本かも知れません。懐かしくなりました。
話せる人
勉強を教えるというのは、ただ勉強をみているだけではありません。他にも色々話をします。そして、私を信頼してくれると悩みを打ち明けてくれるのです。
子ども達は悩みを抱えています。しかし、その悩みを打ち明ける人がそう簡単に見つからないのです。ですから、手っ取り早く、信頼している友達に相談します。しかし、その友達というのがくせ者なのです。悩みを打ち明けたら、それを他の友達に言い広められたりしてさらに困ったことになることがあるわけです。
また、友達も同じようなことで悩んでいると、話したことでお互いに辛さをわかり合い、悩みは増幅してしまって、二人で危ない世界にはまり込んでいくこともあるのです。やはり、しっかり考えてくれるような人に相談できることが必要でしょう。
聴いてくれる人
この新聞記事から読み取れるのはボランティアの大学生と子ども達が打ち解け合っていることです。きっとここでも勉強だけではなく、悩み事などの相談もしていると思います。
そして、ボランティアの先生と色々話をしていることで悩みが深くなる前に少しずつ解決していくものなのです。皆さんも経験があるのではないでしょうか。問題が大きくなる前に小出しに話をしていると楽だということをです。話を聴いてもらうだけで気持ちが楽になったということもです。
子ども達だって話を聴いてくれる人がいると問題は大きく複雑になる前に解決していくものなのです。それが、ただ、勉強を教えてくれるだけだと問題の解決はできず、深みにはまり込んでいくのです。学校の先生がただ勉強だけ教える勉強マシンだと子ども達は悩みや苦しみを解決できないのです。
親には相談できない
本来は親に相談できると良いのですが、思春期の子ども達は基本的に親には相談しにくい精神状態になっています。ですから、他人である学校の先生に相談できると良いのでしょうが、その先生が勉強のことしか教えてくれないと悩みなどは話しにくいでしょうね。普段から色々話をしてくれていると、問題・悩みも早い段階で話ができるのです。
私は教師になった1年目、昼食の時間に弁当を持って自分のクラスに行きました。毎日、違う席で弁当を食べることで色々な生徒の話を聞けましたし、私も楽しく話ができました。時には弁当のおかずを取られましたが、それはそれで楽しい思い出になっています。
要は普段からの関わり合いがどこまでできているかなのです。これは学校の先生に限りません。親でも大丈夫です。普段から気軽に話ができる親子だと大事なことも話ができるようになります。しかし、何かある度に注意したり、叱ったりしていると大事なことは話さなくなるでしょうね。
イエス様に相談できる
私は子どもの頃、父にはほとんど話をしませんでした。楽しく話をしてくれる父では無かったからです。母とは話をしましたが中学、高校の時はあまり話さなくなりましたね。
クリスチャンになった18才から私はイエス様と話をすることを覚えたのです。見えない方と話をするのは電話みたいでした。お祈りは難しくありませんでした。クリスチャンになる前も「神様、いるんだったら○○きいてくれよ!」なんて心の中で言っていたからです。ただ、そういうことを言う相手がはっきりしたんです。そして、聴いてもらっているということもわかって、なんでも相談してきました。これからもイエス様に相談します。
わたし(イエス)の名によって父に求めるものは何でも、父はあなたがたに与えてくださいます。
ヨハネ16:23