病院で幼子体験

子育て通信

ICUで祈った

  前回、三叉神経痛の手術を受けて痛みが消えた話をしました。それは大変嬉しいことだったのですが、術後はなかなか大変でした。
  5月2日(木)に手術を受けて、その日はICUで過ごしました。心電図などの配線、手術した後頭部傷跡からの出血・髄液漏れのための管、左手にはいくつかの点滴の管、鼻には酸素の管、他にもいくつかあります。ほぼ身動き取れない状態でした。ぐっすり眠ることができればいいのですが、私は頭の痛みと圧迫痛のあった左脇腹あたりの強烈な痛みで眠れませんでした。
  私は「眠れないなら、みんなのことを祈ろう!」と決め、痛みをこらえながら祈り始めました。次々色んな方が思い浮かび、祝福を祈りました。病気の方のためには癒しも祈りました。子どものためには心身の健全な成長も祈りました。

ICUでの不思議体験

  ひとしきり祈った後、不思議な体験をしました。うとうとしていたのですが、目の前に実にはっきりとした映像(夢なんでしょうか?)が見えたのです。
  最初は亡くなった母が笑顔で登場したので、「私は死ぬのかもしれない」と思ったのです(笑)。すると不整脈を示す警告音が鳴り、医師たちが駆けつけて来られ、「藤井さん、大丈夫ですか?」と。「大丈夫です」と答えると安心して戻られるのですが、この一晩に何十回とこんなことがあり、心臓のための薬も点滴に2度ほど入れられました。
  私は朝7時過ぎのCT検査に行くまで、次々リアルな映像(夢?)を何度も見ました。知っている方が次々出てきます。心臓の警告音でその映像は消え、また次の映像になるのですが、私はこの色々な方の登場する映像で励まされたのです。
  どうやら、私は決して安心できる状態ではなかったのではないでしょうか?そこで神様は多くの方を見せてくださり、私に励ましをくださったのだと思います。

重症患者室での不安

  3日(金)はナースセンター前の個室「重症患者室」という部屋に入りました。ここで一般病棟に移れるように見守ってくださるのです。のどが渇きましたが、水を飲むことはできませんでした。看護師さんが「水を飲む練習をしましょう」と、水無しでごっくんと飲む真似をさせられ、30秒間に何回できるかを数えました。簡単だと思うのになかなか「ごっくん」ができません。やっと4回できたので、次は5ccくらいの水を飲む練習です。次にもう少し多く。そして、わずかな水で薬を飲みました。
  続いて立ち上がる練習です。頭の手術というのは大変なんだと思い知らされました。何しろ、「立ち上がることなんて簡単」と思ったのに立ち上がれないのです。看護師さんに支えていただいてやっと立ち上がりましたが、一歩が出ないのです。「動け!」と心の中で叫び、一歩を踏み出し、もう一歩。でもそれが限界でした。何度か練習して、トイレに行く練習もしました。
  この部屋でも眠るとあのリアルな映像が続くのです。やはり色々な方が出てきて、励まされました。

やっと一般病棟

  4日(土)、一般病棟に移動。でも、食事がとれません。食べようとすると吐き気です。もう何が何だかわからないという感じです。吐き気止めをいただいてやっと食べられるようになり、一人でトイレにも行け、やっと幼子のようになった感じでした。この日もリアルな映像で励まされました。
  が、翌日5日(日)からはそのリアルな映像は無くなって、普通の夢を見るようになりました。毎日何か夢を見ていました。が、あのリアルな映像はもうありませんでした。不思議な体験でした。

退院のはずが・・

  私は手術のために4月中に幾つもの検査を受け、5月2日の手術へと向かったのですが、最初「9日に退院予定」と聞いたので、てっきり9日に退院できると思い込み、8日はしっかり退院のための荷物まとめをしていました。
  しかし、先生が来られて「藤井さん、申し訳ないけど、ちょっと不安があるので退院を延期しましょう」と言われました。どんな不安なのかというと、髄液(脳を守っている液)が漏れ出ている可能性があるということで、様々な問題を引き起こす可能性があると言われました。もちろん、大変なことになるのは嫌ですから、退院延期を承諾し、治療を受けることにしました。
  特に頭に痛みを感じることも無いし、髄液が鼻からサーーッと流れ出るということもありませんでした。次の検査で退院できると思い、また荷物まとめを行っていたのです。

また、退院延期ですか!

  「明日は退院だ!」と喜んでいたところに次女夫婦が来てくれました。楽しく話をしていると、先生に呼ばれてCTの画像を見せていただきながら娘夫婦も一緒に説明を聞いてくれました。
  先生は「どうも髄液の不安が消えない」と言われ、退院がさらに延期になりました。私はかなりショックを受けましたが、娘夫婦の手前、落ち込むわけにはいかないと気持ちをしっかり持ちました。この時、娘夫婦がいてくれたことが私のショックを和らげる力になりました。

やっと退院

  何日間も髄液の漏れの検査をしましたが「ほぼ大丈夫」という結果が出たので、遂に退院が決まりました。しかし、完全に髄液の漏れの心配が無くなったわけではないので、「まだしばらくは力(りき)んではならない!」という注意をいただいての退院となりました。力むと脳の血管の圧が上がり、髄液が漏れるというのです。

明るい、優しい、親切

  入院中、私は先生方・看護師さん・スタッフの方々に驚いたことがあります。それは、皆さんがとても明るく、親切で、優しいということです。お陰で不安がいっぱいあるにもかかわらず、安心できたのです。回診に来てくださる先生がニコッとして、「どう? 痛みは?」「心配なことがありますか?」など聞いてくださり、不安をぶつけても先生はニコッとして「大丈夫です!」と言ってくださいました。この言葉に何度元気をいただいたことでしょう。
  脳神経外科病棟ですので、みんなかなり厳しい手術をしているのですが、看護師さんはいつも明るく見回りに来てくださいます。ちょっとしたことでもナースコールに応えてくださいますし、廊下を歩いていると「藤井さん」と呼びかけて手を振ってもくださるのです。そういう明るさに元気をいただけました。

幼子を体験した

  私はまるで幼子状態でしたから、子どもがどのようにして安心感を得るのかが少しですがわかったような気がしました。
  私は病人ですから不安の原因が病気、体の不調というところにあります。しかも、それが回復に向かっているのか、良くない状態なのかがわからない(知識が無い)ということで不安の原因があるわけです。ですから、子どもが感じる不安とは違うのですが、その不安を和らげる力はしっかり見守ってくれている人の笑顔や、優しさからくる点では同じだと思いました。
  イエス様のもとに子どもたちは安心して集まったようです。聖書を読んでいると「イエス様が笑った」という言葉は見当たらないのですが、「イエス様はよく笑われた」と考えられています。私もそう思っています。だから、子どもたちは安心して近づいて来たと思います。
  イエス様は確かに不思議な力をお持ちでしたから(神だから当然と言えば当然)病人を癒されました。病人が子どものようにイエス様のところにやって来て安心するのです。
  今回の入院で私は、お医者さん・看護師さんたちからこういう安心をたくさんいただきました。術後もなかなか回復しないので不安と恐怖が襲ってくるのですが、安心をいただけたのは、先生方・看護師さん・ほかのスタッフの方々の明るさと優しさと親切のお陰でした。
  子ども達も親をはじめとして、大人のこうした明るさ、優しさ、親切からしっかり安心をもらえるのではないでしょうか。

  愛は寛容であり、愛は親切です。

Ⅰコリント 13:4

  互いに親切にし、優しい心で赦し合いなさい。

エペソ4:32

  あなたがたは・・・愛されている者として、深い慈愛の心、親切、謙遜、柔和、寛容を着なさい。

コロサイ 3:12

  あなたがたのことばが、いつも親切で、塩味の効いたものであるようにしなさい。そうすれば、一人ひとりにどのように答えたらよいかが分かります。         

コロサイ4:6

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Posted by shinnakano