子育て通信

信頼できる第三者

子育て通信

新聞記事を読んで

  朝日新聞5月1日(月)朝刊の記事に以下のような記事がありました。

子の悩み 聞いて ねぎらって
小中高生の自殺、昨年最多514人
 高校生が7割「学業不振」「進路」多く

 警察庁の統計によると、2022年の小中高生の自殺者数は514人。統計のある1980年以来最多だった。高校生が354人と7割近くを占め、中学生は143人、小学生は17人だった。
 原因や動機は、本人が残したものや遺族からの聞き取りなどをもとに四つまで計上される。最も多かったのは「学業不振」(83人)。次が「進路に関する悩み」(60人)だった。「病気の悩み・影響(その他の精神疾患)」(56人)、「学友との不和(いじめ以外)」(49人)、「うつ病の悩み・影響」(44人)、「親子関係の不和」(40人)と続いた。
 ・・・略・・・
 いじめを苦にした事件が大きく報道されることが多いが、統計では以前から、学業不振や家庭内の不和が動機の上位にあった。都の対策は、電話やSNSでの相談支援に重点を置いているが、「悩みの原因を根本的に解決するために、教育委員会や児童相談所などとの連携や、自殺未遂者へのサポートももっと必要だと感じている」という。
 都立多摩北部医療センター小児科の小保内俊雅部長によると、搬送されてきた子どもの手当てが終わった後、心理士や自身が聞き取った範囲では、「親の期待に沿えない」「一生懸命受験して入った学校で勉強についていけない」といった学業や家庭での悩みが多いという。
 睡眠障害になっている子も少なくない。ストレスを積み重ねている状態で、睡眠が足り
ていないと、さらに何かのストレスを受けたとき、抑うつ状態に陥りやすくなる。「夜遅くにコンビニで買ったおやつを食べながら歩く塾帰りの小中学生をよく見かけますが、心身の健康を保つために、社会全体で子どもの睡眠をどう確保するかがもっと議論されてもいいと思います」

 ■コロナ禍も影響「原因分析が重要」
 コロナ禍の影響についての指摘もある。国立成育医療研究センターこころの診療部児童・思春期リエゾン診療科部長で、最近まで中学と高校で14年間校医を務めていた田中恭子さんは「勉強以外にも体育や歌が得意など、学校では多様な価値観が認められていた。コロナ禍でその多くができなくなり、テストの点数や偏差値だけが価値基準になりがちなことが、子どもの心理状態を悪化させている」とみる。
 また、感染拡大で家の外に出られない時期が続き、家族との関係がよくないなど、もともと家庭に居づらかった子は追い込まれているという。「学業不振であっても、それはあくまで結果。なぜ起きているのかを分析することが重要では」
 周りの大人ができることは何か。田中さんは、地域や習い事などで子どもが出会う大人の役割に着目する。子どもには、どうしても親や先生には話せないことがある。話しにくい環境にいることもある。「しんどい時に、この人になら話せる」という大人が一人でも多いほうが、その子にとってはいいからだ。
 打ち明けられた時は、「よく話してくれたね」とたたえ、話をさえぎらず否定せずに共感しながら、聞き役に徹し、その子の長所を見つけてほめ、ねぎらうことが大切だという。「過酷な状況を生き抜いてきた一人の勇気ある人としてその子を対等に見ることが大事だと思います」(田渕紫織)

  この記事を読んで考えを新たにしました。私はてっきりいじめによる自殺がトップに来るように思っていたからです(報道の影響を感じます)。しかし、現実は学業不振や進路問題、病気や家庭環境がかなりの割合を占めています。
  言われてみれば私のところに相談に見えた方々で不登校などになるお子さんもいじめによるケースは少なかったです。多くは「精神的にしんどい」「原因がよくわからない」というのが中心でした。不登校は自殺とはまた違いますが、割と子どもの精神面の問題が影響しているのではないでしょうか。

この人になら話せる

  そして、この記事の最後の方で、「しんどい時に、この人になら話せる」という大人が一人でも多いほうが、その子にとってはいいからだ。とあります。
  これが子育ての会で私がずっと推奨してきた「信頼できる第三者を持つこと」なのです。思春期の子どもは親に話さなくなります。子育ての会では何度もお話ししてきたことなのですが、教師時代、「けいろう悩みの相談室」と生徒が名付けた美術準備室にはたくさんの生徒が相談に来ました。深刻でないものの方が多かったのですが、中には家出を考えていた生徒、不登校を決めようとしていた生徒などもありました。
  思春期は悩みを抱える時期です。その悩みを話せる年上の人が必要となります。その人が信頼できて、安心できることが大事なのです。それで「信頼できる第三者」と言っています。牧師になった私は子ども達とも仲良くなって誰かの「信頼できる第三者」になろうと思ったのです。実際、こんな私のところにも相談に来てくれる小学生、中学生、高校生がありました。これからも教会はそういうところでありたいと思っています。

「金八先生」で

  先日、たまたまアプリで昭和54年度(1979年)の「金八先生」を見ていたのですが、そこに東大受験をした男性が不合格を苦にして飛び込み自殺をする話がありました。この青年の自殺のことと、この新聞記事と合わさって、とても考えさせられました。
  受験、勉強、成績というのは若いときには大きな問題です。若い人の悩みは大人が感じているよりもはるかに大きいものです。それでいて親に相談しないのです。多くの親御さんは子どもが自殺するまで悩んでいたことを知らないことが多いです。いじめで自殺した子ども達も親には話してないことがほとんどです。

相談できる人は?

  古い私のアンケート調査の結果ですが、大学の卒論を「第二反抗期の研究」というテーマにしました。その時に実際に中学生の声を聞きたいと思ってアンケート調査をしたのです。「相談できる人は誰ですか?」に対して、一番多いのは3学年とも「友だち」でした。1年生は「お母さん」というのも割と多いのですが、お父さんはその半分以下ですし、学校の先生はほんの少ししかありませんでした。
  中学生が問題を抱えても相談するのは「友だち」であって、友だちというのは時にはよいアドバイスをしてくれますが、基本的に同じような問題を抱えた世代なのです。ある生徒が家出を考えたとき、友だちに話をすると友だちも一緒に家出をしてしまいました。こういう話は結構あるではありませんか。また、自殺にしてもそうです。友だちも一緒に飛び降り自殺をした話もままあります。
  友だちは大事ですが、悩みや問題の解決につながる良い話ができるとはかぎりません。ですから、「信頼できる第三者」をもっていることはとても重要なのです。

イエスを信頼できる第三者に

  聖書を読むとソロモン王のところに悩みの相談に来た人がいることがわかります。他の人では解決につながらないために最終的にソロモン王のところに来たようです。そして、見事な解決を与えられるので、本人は納得し、周りの人々は驚くのです。
  時には外国の偉い人達がソロモンの知恵を聞きたくてたくさんの金銀財宝を持ってやって来ました。そして、誰もがその知恵深さに驚いて帰って行きます。当時、世界一知恵のある王様だったのでしょう。その知恵の出所は神様です。神様がソロモンにそのような知恵を与えました。
  しかし、イエス・キリストはソロモンどころではありません。イエス・キリスト自身が神様だからです。イエス・キリストのところに来た人達は誰もがその知恵に驚きますが、同時にイエス・キリストの愛に圧倒されるのです。

  私達も神様の知恵をいただいて思春期の子ども達を指導できたらと思います。ソロモン王が神様と親しくしたように、私達も神様であるイエス・キリストと親しくしていることが知恵と愛に満ちる秘訣だと思います。
  つまり、私達自身も「信頼できる第三者」を持つべきなのですが、それは何と言ってもイエス・キリストに勝る方は無いのです。このイエス・キリストの知恵と愛に触れるには、まずは聖書です。聖書からイエス・キリストを知るのですが、聖書は不思議な書であって、イエス・キリストを人格的に知ることができるようになるのです。それは「信仰」と言って良いのかも知れません。「信頼」よりももっと強い関係「信仰」です。

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Posted by shinnakano