子育て通信

生き生きしてほしい

子育て通信

22年目の東京

  東京に来て22年目に入りました。私も69才になっており、最近の教育事情もしっかり把握できないまま「子育て通信」を書き続けていることをお許しいただきたいと思います。
  教師時代、大阪の中学校で生徒たちの高校受験にも関わりましたが、東京に来た時にすでに東京と大阪の違いに驚きました。そして、さらに最近の東京の試験内容を見たときにまた驚いたのです。
  時代は変わったのだなあと思います。

何か違う子ども

  ここ数年、本や新聞、雑誌に発達障害のことがかなり書かれるようになりました。それは以前の発達障害のとらえ方とは違った観点で書かれているものが増えたということです。
  さらに、発達障害だけでなく、精神障害やその他の困難さ、例えば「聞き取り困難症(聞こえているけれど聞き取れない)」や算数障害(ディスカリキュリア)と言われる学習障害(LD)の一種で、計算や推論が困難な症状を示すものがあります。対人コミュニケーションなどには問題がなく、国語や社会などの科目も周囲と変わらない習熟を見せているのに算数だけが極端に苦手な場合だそうです。
  前にも紹介しました「発達性協調運動障害(DCD)」という脳機能の発達に問題があるために、運動や動作にぎこちなさが生じたり、姿勢に乱れが生じ、日常生活に支障が出てしまう発達障害もあります。
  こういうことはその人(子ども)にとって生きにくいと感じられるものです。

不器用になる時期

  また、こうした発達障害などと違うのですが、思春期の頃、身体が急速に発達し、神経の伸びがついていかないために、例えばつまづきやすくなったり、うまく絵が描けなくなったり、技術の授業の大工道具などが前よりうまく使えなくなってケガをしたりすることがあります。小学生の時には上手くできていたことができなくなって気持ちが落ち込むことがあります。こういう時に「下手だなあ」なんて言われるとさらに落ち込んでしまうでしょう。
  このことを習ったのは相当昔だったので、今はどうなのか調べてみると、やはりありました。「成長期不器用」とか「思春期不器用」と言われ、「動きのぎこちなさ」が現れます。

成長痛か他の病気?

  そして、こういう身体が成長する時期にひざ痛が起こったりもします。いわゆる「成長痛」ですね。これ自体は比較的早く回復するのですが、スポーツのし過ぎなどで関節を痛めてしまうとなかなか治りにくい生徒もいました。
  成長痛はレントゲンでもわからないです。私はこの成長痛が中学生頃に多いと思っていましたが、4歳~8歳くらいにも10~20%くらいの子に現れるようです。
  とはいえ、思春期の子どもは色々大変なことが多いものです。

生きづらさ

  中学校で教師をしながら思春期の大変さを見てきましたが、最近特に私が気になっていることの一つが子どもの「自殺」です。警察庁のデータによると2022年の小中高生の自殺者数は514人で、統計のある1980年以来、過去最高だったそうです。高校生が354人、中学生が143人、小学生が17人です。日本全体での自殺者が22,000人ほどで、以前自殺者は毎年3万人と聞いていた頃に比べて減少傾向にあったのに、子どもの自殺は増えているのです。
  そして、日本では10代から30代の死因のトップが自殺なんだそうです。若い人たちの生きづらさを感じます。生きづらさを解消しようとしてか、市販薬を大量に摂取して覚せい剤などと同じような効果を期待し、精神状態がおかしくなって死に至ってしまうというケースも多くあると聞きました。

一番はいじめじゃなかった

  私は子どもの自殺の原因で一番多いのは「いじめ」だと思っていました。しかし、調べてみると「学業不振」が一番多いということがわかりました。もちろん、本人が死んでしまっているので、はっきりしたことはわかりませんが、「いじめ」による自殺はかなり下のランクです。そういう点では私も報道の影響を受けているわけですね。

  小学生の自殺は「家族からのしつけ・叱責」「親子関係の不和」が一番多いと言われています。高校生になると「うつ病」というのも上位にあります。ただ、原因は一つに絞ることはなかなかできないようで、複雑に絡み合っていると考えられます。
  そして、「死にたい」と言っている子供の数はどれほどなのでしょうか? NPO法人「あなたの居場所」のチャット相談窓口には1日に1,000件以上の相談が寄せられているそうです。その7割が29歳以下の若年層。相談の多くが「自ら命を絶ちたい」という内容です。

急激な変化

  東京に来て22年ですが、教会の周りもずいぶん変わった気がします。家が建て替えられたり、店が変わったり、「東京文化学園」が「新渡戸文化学園」に変わったり、私たちの住むマンションから見えていた東京タワーが見えなくなったり、いろいろ変わりました。
  そして、子ども事情も変わったように思います。特にコロナの3年はさらに変化に拍車をかけました。ネット授業になったおかげで不登校気味の子ども達が助かったりという良い面もあるのですが、さらに不登校が増えたり、給食も黙食になっていたため友達とのコミュニケーションがうまく取れなくなったり、ネットの授業でかえってついていけなくなったり以前には無い問題も起こっています。それがここ数年のうちに急激に起こっているので子ども達も親も先生も対応に苦労しています。
  変化はやむを得ないにしても、これだけ急激に変化すると誰しもストレスが溜まります。

教会にも大きな変化

  教会も急激な変化に苦労しています。大人も子どもも大変なのに、教会に来られる人の数がグッと減ったということです。「宗教離れ」と言われる現象が教会にも起こっているわけですが、色々な宗教団体が同じような悩みを抱えていると聞いています。「宗教は無害、むしろ心の安らぎを与える」と思われていたのに、オウム真理教の大事件や統一教会問題など「宗教は怖い」と思われるようになったからでしょうか?
  かつて教会学校(日曜学校)には子ども達が大勢詰めかけていました。私が50年前に通っていた大阪の教会も礼拝に大人が60名ほど出席していましたが、子どもは100数十名いました。私が受け持った中学生クラスも30~60名くらい出席があったものです。そういう教会はたくさんあったのにもかかわらず、軒並み子どもがいない教会が増えたのです。

  新中野教会も私たちが赴任した22年間からしばらくは「キッズクラブ」という幼児の集会を水曜日の11:30~15:00に行っていましたが、毎週20~30名の幼児が来ていました。幼稚園事情、家庭の教育事情などで今はこれが無くなってしまいました。
  でも、私たちは正しい宗教教育の重要性を信じていますので、何らかの形で継続することを考えてきました。
  悩みがあれば気軽に来れる教会にしたいです。かつて子ども達が喜んで来てくれていたようにです。
  私個人としても子ども達やお母さん方の子育ての悩みを聞いてきました。私のところにも「死」を考えていた子ども・大人も来てくださいました。

  イエス・キリストはこのようなことを言われました。

すべて疲れた人、重荷を負っている人はわたしのもとに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。

マタイの福音書11:28


  私も少しはイエス様のお手伝いをしたいと思っています。


 

  3月8日に予定していました子育ての会は私がコロナにかかったために中止しました。お詫び申し上げます。
  子育ての会を中止したことは今まであったかなあ?と考えました。思い出せないということは無かったのか?私の記憶が悪いのかです。
  子育ての会は多い時で10名くらい、少ない時は1名でした。基本的には子ども達の発達などについてお話していますが、皆さんの悩みも聞いています。
  一人の時は個人的相談みたいなこともできて有効な時間となりました。

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Posted by shinnakano