明日を心配しない

子育て通信

NHKの番組で

  前回、ボーッとすることの大切さを少し語りました。そのことをたまたま見ていたNHKの番組で「脳」のことを放送していました。その内容は、「脳・ひらめきと記憶の謎」というもので、小説家であり、俳優である又吉直樹さんの脳の活動をMRIで調べていました。
 又吉さんが何かを見た瞬間、脳は瞬時に脳全体に情報を伝えました。例えば人を見たとき、最初に情報を伝えるのが視覚野で目から入ってきた大まかな輪郭を捕らえるらしいです。その後、側頭部の顔領域に信号が伝達され、顔を認識して、更に前頭前野に信号が伝わり感情を引き出すのだそうです。私はこのような仕組みを作ってくださった神に感謝せずにおれませんでした。

ひらめきのために

  この番組で特に私が教えられたのは、「ボーッとすることの大切さ」です。番組では、私たちが頭に何かひらめく時、脳の中ではどうなっているかを調べていました。
  「ひらめいた」時に脳に流れる電気信号は脳の中心部分から前後左右全体に流れます。これは何かに集中している時の脳と比べると違いがあります。集中している時は脳のいくつかの部分が活動していますが、ひらめくときは脳の全体が活動しているのです。つまり集中するだけでは何かを生み出すことができないのに、ボーッとしている時には脳全体が働いて新しい何かを生み出す力が湧いてくるということです。

  ですから、ひらめきの状態に近づけるとっておきの方法は何も考えない「ボーッとしている時」(デフォルト・モード・ネットワーク)です。
  何かに行き詰まったときには,ボーッとすることでハッとひらめくのだそうです。この時の脳を調べると、電気信号が脳全体をつないでいるのだそうです。

  朝、目覚めてボーッとしている時などにひらめきが生まれることが多いといわれるのですが、なぜボーッとしているときにひらめきが起きるのかは、電気信号がつないでいく先の大脳皮質にも関係があるらしいです。
  大脳皮質には記憶の断片があります。ボーッとしているときには脳全体が活動するので、大脳皮質も活動し、電気信号が飛び交うようです。そして、この記憶の断片に働きかけ、ひらめきを生み出すと考えられるのです。
  「アルキメデスの原理」は彼が風呂に入ってボーッとしていて発見したそうです。またiPS細胞を発見した山中伸弥さんもボーッとしてシャワーを浴びている時のひらめきだったと言います。脳科学者クレイグ・ステークスさんはボーッとすることができるのは自転車に乗ることだそうで、無意識のうちにひらめきを与えてくれると言っています。

記憶とひらめき

  ただ注意しなければならないのは、電気信号が行く大脳皮質に「記憶されているもの」がなければならないということです。これも研究でかなりわかってきましたが、見たものを記憶するのに海馬の中にある歯状回というところが関係しています。ここに多くの細胞が並んでいて、見たものの信号が歯状回の細胞に行き、そこからさらに電気信号を送ります。そして一つの記憶に対して一つのルートができるそうで、この海馬で作られた記憶が数年のうちに大脳皮質に移され、ここで生涯にわたって蓄えられると言います。
  ボーッとしているとき、この大脳皮質に蓄えられている記憶のあらゆる所に電気信号が届き、それをどのようにしてか「ひらめき」へとつなげるのです。ですから、見聞きし、体験して、記憶がより多く蓄えられているとひらめきも増えるということでしょう。
  そして記憶はインスリンと深い関係があることもわかってきたそうです。様々な伝達物質が血管から脳細胞に入ると大混乱になります。そこで、インスリンだけが血管から脳細胞に入り脳に伝達物質を届けるのです。ですから、良い食生活をして膵臓を守ることが大事だそうです。すごいですね。こういう仕組みが勝手にできるとは思えませんでした。やはり神の設計だということですね。

 脳を刺激するために

  最近、認知症になるメカニズムが徐々に解明されてきています。年を取っても脳細胞が増えると言われるようになりました。そして、脳に刺激を与えると良いと言われています。そのために「脳トレ」などが流行っています。
  では、成長している途中の子ども達の場合はどうかというと「遊び」はとても良い刺激と言えます。
  そして、子どももボーッとする時間が必要です。

  今回も新聞記事から引用します。

 子どもが悩む、見えづらい「将来」 
 学研教育総研・川田所長に実態聞く 朝日新聞朝刊 2025年2月11日
 ■変化が速い時代、重要な親子の対話
 いじめ、不登校、スマホ、SNS……。社会状況が大きく変わる中、子どもや周囲の大人はどのような悩みを抱いているのか。「小学生白書」などで子どもの実態を調べてきた学研教育総合研究所の川田夏子所長に聞いた。
 小学生への調査の中で、2019年から悩み事や相談相手を聞いています。その後、中高生にも同様の質問をし、「白書」にまとめました。全国のモニターから各学年男女 100人ずつを抽出し、インターネットで複数回答で答えてもらいます。
 傾向として、学年が上がるほど悩み事がある人の割合が増えていきます。相談相手は一貫して母親が1位ですが、学年が上がるにつれて友達の割合が増え、中学生になると父親を追い越します。
 悩みの内容は、学年が上がるほど学習に関する悩みが増えていきますが、高校生では「進路など将来のこと」が33,2%で1位。4位の「お金に関すること」(24,5%)も非常に高かったです。
 感じるのは、今は子どもたちにとって、将来の姿を想像しづらい時代になったということです。
 小学生白書では30年以上前から、将来就きたい仕事について調査してきました。長年、男子はスポーツ選手、女子はパティシエといった職業が定番でしたが、17年以降、「YouTuberなどのネット配信者」「eスポーツプレーヤー・プロゲーマー」などが上位に入り、多様化が進んでいます。
 かつては進路の悩みといえば受験に受かるか受からないかといったイメージでしたが、今はそうとも言い切れません。今ある職業の多くが近いうちになくなるといわれる時代に、自分は何をしたいのか、将来どんな仕事があるのか、今の勉強は将来役に立つのかなど、とても悩ましい状況なのだと思います。
 これだけ変化が速いと、子どもの相談に対応できないという親の悩みも増えてくると思います。有名大学への合格や大企業への就職といった従来の指標が変わり、子どもが思わぬところに価値を見いだしてくるかもしれない。そのときにどれだけ親子で対話できるかが重要になってくるのではないでしょうか。(聞き手・狩野浩平)

  子どもの将来を親も悩む時代になっているようです。子どもも昔の子どものように将来にあまり希望を持てず不安になったり悩んだりしています。その背景に忙しさ、時間も流れの速さなどがあるのでは無いでしょうか? ゆったりとする時間、ボーッとする時間が持てなくなっているように思います。何を第一にすべきかで不安が高まってしまうのですね。

何を第一に求めるべきか

  聖書(マタイの福音書)にイエス様のこんな言葉があります。

6:26 空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。それでも、あなたがたの天の父は養っていてくださいます。あなたがたはその鳥よりも、ずっと価値があるではありませんか。
6:31 ですから、何を食べようか、何を飲もうか、何を着ようかと言って、心配しなくてよいのです。
6:33 まず神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはすべて、それに加えて与えられます。
6:34 ですから、明日のことまで心配しなくてよいのです。明日のことは明日が心配します。苦労はその日その日に十分あります。
新改訳2017 マタイの福音書 6章

  神様は私たちのこと、子ども達のことを祝福しようとされています。だからこのようにイエス様も言ってくださいました。
  このお方に信頼して子どもの祝福を祈っていきたいと思います。子どもの将来に真の平和があるように、愛の子に育つように祈っていきたいと思います。

子育て通信

Posted by shinnakano