つまずきポイントを克服
家庭教師の話がきました
大学生の時、何かバイトをしないと経済的に大変でしたが、1年生の時は8時半から4時頃まで毎日のように授業がありましたし、美術の課題、障害児教育のレポートなどに追われて、バイトどころではありませんでした。
が、教会のある方の勤めている会社の長男が中3で高校受験生なのに勉強に身が入らず高校進学が心配だということから私に家庭教師の声がかかりました。こちらも忙しい身だったので、あまり乗り気では無かったのですが、とにかく一度その男の子と会うことになりました。
夜にその方の家に行って、彼と会いました。スポーツのできるなかなかのかっこいい男の子でした。ご両親と彼と私の4人で話をした時、ご両親の真剣さの割に彼はのんびりしていました。聞いてみると前に家庭教師がいたらしいのですが、どんな事情かわかりませんが辞めたらしいのです。そこに今度は私です。
彼がOKした
彼と二人だけで話をしました。勉強が嫌いではないが、乗り気になれないとか、なぜ勉強しなければならないかわからないとか、思春期らしい悩みが飛び出してきました。そういう中で前の家庭教師は楽しくなかったので辞めたらしいのです。しばらく話をして「君が家庭教師をいやなら、私からご両親に話してあげるから、気にしないで本心を言って」と言いました。彼が家庭教師を断れば、私も楽だと思う気持ちもありました。
翌日、ご両親から正式に私に家庭教師をお願いするという連絡が来ました。彼がOKしたというのです。引き受けた以上はがんばりました。
勉強よりも・・・
最初、彼は確かに勉強に乗り気ではありませんでした。勉強より、話をしていることの方が多かったのですが、中間テストが近づいてきたので、ちょっとやる気になったみたいなので、一気に勉強へと入って行きました。私のやり方は彼のできないところを発見して、反復練習して確実にできるようにする方法です。これは私が高校受験前、大学受験前にやって来た方法です。彼のつまずいている所はどこかと探しました。この方法は上手くいきました。彼は念願の高校に入学できたので、喜んでもらえてその妹さんも見ることになりました。
その後、6年生、中3の子ども達数名を頼まれて、大学の4年間、家庭教師のバイトだけで美術の材料や授業関係の書籍、キリスト教の書籍を買うことができました。
何人も教えたなぁ
教師になり、その後牧師になり、家庭教師をすることは無くなったのですが、私のやり方はほとんどの子ども達に効果があることはわかりましたので、勉強が大変な子ども達を教えてきました。60才を越えてからも受験生達の勉強をみることがありました。さすがに忘れていることだらけですが、教科書を見て思い出しながら、その子の弱点を探す努力をし、見つけたところは反復してできるようにしました。
ある生徒は数学が相当できないので、どこでつまずいたのか探すために小学校4年生~中2までの「10分間ドリル」を買ってきて、つまづいているところを探しました。その子は5年生辺りでつまづいていました。そこから始めるとトントン拍子に理解していき、中2まで到達できると何とか受験にも間に合いました。「できない問題はしなくていい。できる問題だけ完全にできるようにしよう」と伝えたからか、合格してくれました。
つまずくところは?
最近読んだ本に、「算数能力の成長曲線に潜む落とし穴」というのがありました。
繰り上がり、繰り下がり
まず子どもが最初につまずきやすいのが1年生後半から習うのでしょうか、繰り上がり、繰り下がりの問題、 5+7、15-8 といった問題です。問題数をこなしてこういった問題を暗記できる子はテストでも早く答えを書いてしまいます。しかし、10を越える、つまり手の指を使っても足りない数の動きを理解するためには脳が相当活発に動いているのです。
文章題、3けた÷2けた
続いて3年生では「文章題」や「3けた÷2けた」(たとえば486÷27 のようなもの)でつまずきやすいです。また、計算問題は難なくできるのに文章題になるとからっきしダメという生徒を何人も見てきました。文章中にある数字をただかけたり足したりしているだけの子がいます。つまり、文章の意味がわかっていないのです。これは国語力と関係します。
分数
続いて4年生では「分数」です。さすが9才・10才の壁の時期ですね。脳は抽象思考ができる脳に成長してきています。しかし、分数の理解はなかなか難しいです。1/2(二分の一)や1/3だけならわかりますが、1/2+1/3のようになってくると混乱しやすいのです。実際、私が教えた中学生でも分数でつまずいている子が何人もいました。
図形
5年生では「図形」が落とし穴(つまずきポイント)と言われています。そして、人によっては「魔の5年生」と言うくらい5年生でつまずいてしまう子どもが多いそうです。図形が平面の内はまだいいのですが、立体図形になってくると見えていない部分などを想像しなければなりません。
積み重ねが大事
こうした力が合わさって中学生の数学へと発展していくのです。ですから数の理解は小さな数から大きな数へと進み、その大きな数の足し算、引き算、掛け算、割り算ができるということと反対に1より小さい数、小数、分数を理解し、その計算ができることが必要となります。
中学生になると(最近は小学生でも教えているかも知れませんが)方程式、x、yを求める計算、比例・反比例とそのグラフ、三角形などの角度、面積、さらには球の面積、体積を求めたり、そいうことの応用問題がたくさん登場します。証明問題が苦手な生徒はたくさんいました。
積み重ねてこそわかる世界ですので、分数でつまずいた生徒には分数まで戻って教えました。九九が出来ない生徒には九九を覚えさせました。そうでないとなかなかその次に進めないのです。
幼い時の遊びが大事
こうした脳の発達のためには幼い時の遊びが必要なのです。遊びは子ども達が楽しんでいるので、良いホルモンがどんどん出て、やる気を起こし、快感を覚えます。それは高校生が難問を時間をかけて解いたときに起こってくる快感に似ているかも知れません。積み木を積んで倒れても倒れても積んでいく経験はとても大事だと考えます。
グラフや図形を頭の中で想像してみる力は想像する遊びの中で培われているのではないでしょうか。
絵本の読み聞かせ、家族と話すことで想像力や文章理解、ひいては人の気持ちを理解する力にもつながっているのではないでしょうか。
そのためにも是非聖書を読んで欲しいです。聖書を読むことで相当国語力がつくとさえ言われています。漢字も結構覚えられますし、前後理解や、人の気持ちなどを考える力にもなります。
教会学校(ジュニア教会)はそういう総合的な力をつけると思います。この時間をもっと増やしたいです。