神からの贈り物
2024.12.15礼拝
テーマ: 一方的な神の愛
【説教題】神からの贈り物
【聖 書】マタイ2:1-12
【説教者】藤井佳子牧師
2:1 イエスがヘロデ王の時代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東の方から博士たちがエルサレムにやって来て、こう言った。
【新改訳2017】マタイ2:1~12
2:2 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。私たちはその方の星が昇るのを見たので、礼拝するために来ました。」
2:3 これを聞いてヘロデ王は動揺した。エルサレム中の人々も王と同じであった。
2:4 王は民の祭司長たち、律法学者たちをみな集め、キリストはどこで生まれるのかと問いただした。
2:5 彼らは王に言った。「ユダヤのベツレヘムです。預言者によってこう書かれています。
2:6 『ユダの地、ベツレヘムよ、あなたはユダを治める者たちの中で決して一番小さくはない。あなたから治める者が出て、わたしの民イスラエルを牧するからである。』」
2:7 そこでヘロデは博士たちをひそかに呼んで、彼らから、星が現れた時期について詳しく聞いた。
2:8 そして、「行って幼子について詳しく調べ、見つけたら知らせてもらいたい。私も行って拝むから」と言って、彼らをベツレヘムに送り出した。
2:9 博士たちは、王の言ったことを聞いて出て行った。すると見よ。かつて昇るのを見たあの星が、彼らの先に立って進み、ついに幼子のいるところまで来て、その上にとどまった。
2:10 その星を見て、彼らはこの上もなく喜んだ。
2:11 それから家に入り、母マリアとともにいる幼子を見、ひれ伏して礼拝した。そして宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。
2:12 彼らは夢で、ヘロデのところへ戻らないようにと警告されたので、別の道から自分の国に帰って行った。
全ての人を愛する神
「東方の博士たち」は三人と理解されることが多い。それは、彼らの贈り物が3つあったことに影響している。だが、実際に何人いたかは定かではない。そして、彼らは「ユダヤ人の王」を探しに来たことから異邦人であったと推測される。なぜなら、ユダヤ人は自らを「イスラエル人」と言うのに対し、異邦人は彼らを「ユダヤ人」と呼ぶからである。
東方の博士たちは、当時どの国からやって来たのかは不明である。しかし、「東方」ということから、かつてユダヤ人が捕囚とされた地であるバビロンからではないかと思われる。そのため、彼らはユダヤ教やメシヤ待望についてかなりの知識があったようだ。バビロンは占星学の本拠地であり、その知識に長けていた博士たちは、星の出現が特別な啓示であると察知した。これが、「ユダヤ人の王」の誕生を示していることを知った彼らはエルサレムへと向かった。神は異邦人にも救い主の誕生を教えてくださった。神はユダヤ人のみならず、全ての人に愛を示しておられるのである。
全世界の王
今回のこの記事はマタイ福音書に記されているが、この福音書は「イエスが王」であることが強調されていると言われる。福音書の冒頭にイエスの系図があり、「ダビデ王の子孫」であることが証明される(マタイ1:6,17)。東方の博士たちはその「ユダヤ人の王」を訪ねた。
彼らは王が宮殿にいるものと思いヘロデ王を訪問する。だが、ヘロデ王にしてみれば驚きの出来事である。「自分以外に王はいない。新しい王とは誰のことだ?何を勝手なことを!!」と憤慨したに違いない。彼はユダヤを治める王であったがユダヤ人ではない。ユダヤ南方のイドマヤ出身のイドマヤ人(エドム人)であった。突然の博士たちの訪問に動揺したヘロデ王は、祭司長や律法学者たちを召集してキリストがどこに生まれたかを調べさせた。ここで分かるのは、「ユダヤ人の王」とは「キリスト(メシヤ)」を意味していることだ。彼は、「ユダヤ人の王」が「キリスト」であることに気づいたのである(マタイ2:4)。「ユダヤ人の王」として誕生したイエスは東方の博士たちの来訪を受け、後にイエスがエルサレムに入る時は「柔和で、ろばの背に乗った王」(マタイ21:5)として入城する。そして、十字架上では「ユダヤ人の王」という罪状書きが掲げられる(マタイ27:37)。「ユダヤ人の王」は「キリスト」であり、全ての人に救いをもたらす「全世界の王」であった。
神からの贈り物
東の国からはるばるユダヤ人の王を拝みに来た博士たちは、ついにその方を見つけ贈り物をささげる。元来「黄金」は王に、「乳香」は神に、「没薬」は死者にささげられるものとされてきた。特にこの「没薬」はキリストの生涯の初めと終わりに関連している。今回博士たちのささげ物とされた他、イエスが十字架にかけられた時、ローマ兵が「没薬を混ぜたぶどう酒」を麻酔薬として飲ませようとした(マルコ 15:23 彼らは、没薬を混ぜたぶどう酒を与えようとしたが、イエスはお受けにならなかった。)。またニコデモは、イエスの埋葬のために没薬を持ってきた(ヨハネ 19:39 以前、夜イエスのところに来たニコデモも、没薬と沈香を混ぜ合わせたものを、百リトラほど持ってやって来た。別訳―没薬とアロエを混ぜたものを30キログラム)。これは死体の防腐剤として用いられた。
このように、イエスの誕生時ささげられた物の中には死者に用いられる没薬があった。それは何を意味しているのか、聖書には記されていない。だが、やがてこのイエスが私たちの罪を負い、十字架にかかることを暗示しているものと思われる。神は私たちの救いのためにイエスを地上に生まれさせてくださった。私たちが神を否定するようなことがあっても、一方的な神の愛によって救いを約束しておられる。イエスは、神からの最高の贈り物なのである。
「ヨハネ3:16 神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに世を愛された。それは御子を信じる者が、一人として滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」
ユダヤ人の王として生まれたイエスは、全世界の王でもあった。イエスは、キリストとして私たちを救い、全世界を神の平安で統べ治めてくださる。神は、私たちがどのような状態であっても受け入れておられるのだ。また人間と違い、見返りを求めることはなさらない。一方的に私たちを愛してくださるのである。異邦人である博士たちがイエスを拝んだように、私たちも真の王であるイエスを心に迎え、主を礼拝していこう。
Posted by shinnakano
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