母の心の叫びが神に届いた

礼拝メッセージ

2022/3/20 礼拝説教
【テーマ】  神は見捨てない
【説教題】 「母の心の叫びが神に届いた」
【聖書箇所】 出エジプト記1-2章

2:1 さて、レビの家のある人がレビ人の娘を妻に迎えた。
2:2 彼女は身ごもって男の子を産み、その子がかわいいのを見て、三か月間その子を隠しておいた。
2:3 しかし、それ以上隠しきれなくなり、その子のためにパピルスのかごを取り、それに瀝青と樹脂を塗って、その子を中に入れ、ナイル川の岸の葦の茂みの中に置いた。
2:4 その子の姉は、その子がどうなるかと思って、離れたところに立っていた。
2:5 すると、ファラオの娘が水浴びをしようとナイルに下りて来た。侍女たちはナイルの川辺を歩いていた。彼女は葦の茂みの中にそのかごがあるのを見つけ、召使いの女を遣わして取って来させた。
2:6 それを開けて、見ると、子どもがいた。なんと、それは男の子で、泣いていた。彼女はその子をかわいそうに思い、言った。「これはヘブル人の子どもです。」
2:7 その子の姉はファラオの娘に言った。「私が行って、あなた様にヘブル人の中から乳母を一人呼んで参りましょうか。あなた様に代わって、その子に乳を飲ませるために。」
2:8 ファラオの娘が「行って来ておくれ」と言ったので、少女は行き、その子の母を呼んで来た。
2:9 ファラオの娘は母親に言った。「この子を連れて行き、私に代わって乳を飲ませてください。私が賃金を払いましょう。」それで彼女はその子を引き取って、乳を飲ませた。
2:10 その子が大きくなったとき、母はその子をファラオの娘のもとに連れて行き、その子は王女の息子になった。王女はその子をモーセと名づけた。彼女は「水の中から、私がこの子を引き出したから」と言った。

出エジプト記1-2章

○ 前回のヤコブから一気に出エジプト記に来ましたが、前に佳子先生がヨセフの説教を1回で見事にまとめてくださったので、今日から出エジプト記に入ります。出エジプト記といえば「モーセ」です。

神を恐れる者が祝福される

神を恐れる助産婦たち

    1.ヨセフがエジプトの大臣になって、父ヤコブ(イスラエル)と兄達を飢饉の時に助け、その時にイスラエルはエジプトに住みました。そして長い年月が過ぎて 1:8 やがて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトに起こった。 と、ヨセフの名前も通じなくなってしまいました。エジプトにすればイスラエル人がここに住んでいることは危険と感じ、彼等を奴隷としてしまいました。

    2.その上、助産婦に男の子が生まれたら殺してしまうようにと命令を出しました。 1:17 しかし、助産婦たちは神を恐れ、エジプトの王が命じたとおりにはしないで、男の子を生かしておいた。 と、神を恐れる助産婦たちは男の子を生かしておきました。ですから 1:20-21 神はこの助産婦たちに良くしてくださった。そのため、この民は増えて非常に強くなった。助産婦たちは神を恐れたので、神は彼女たちの家を栄えさせた。 と、信仰的な助産婦たちによってイスラエルは祝福され、助産婦たちも祝されました。王の命令に背くのは怖かったでしょう。でも神に背きたくないという彼女たちの信仰が勝ったのです。

神を恐れないファラオ

    1.一方、どんどんイスラエル人が増えていくのを見たファラオは新たな厳しい命令を下しました。 1:22 生まれた男の子はみな、ナイル川に投げ込まなければならない。 としたのです。なんとファラオは恐ろしい命令を下したことでしょう。人は恐れから恐ろしいことを企てることがあります。ファラオは本当に恐れるべきお方がわかっていなかったのです。

    2.しかし、このことはサタンの計画でもあったと言えます。サタンはアダムとエバを神から引き離して喜びましたが、その後、世界を救いに導くためにイスラエル民族が生み出されようとしていたので、今度は何としてもこれを阻止したかったのです。イスラエル人をエジプトの奴隷にはできたものの、また危なっかしくなったためにファラオを通して殺人計画に入ったのです。

    3.このことはイエス誕生の時のヘロデ大王が博士たちの来訪によってユダヤの新しい王が生まれたと知って、2才以下の男の子を皆殺しにするという恐ろしいことをした話に繋がります。

かわいそうに思う心が世界を救う

我が子を川に捨てる

    1.そんな中、モーセが誕生します。両親は その子がかわいいのを見て、三か月間その子を隠して おきました。当然我が子はかわいいです。殺すなんてとてもできないです。かといって、そのまま育てていたら、スパイに見つかってしまい、その子は殺されるだろうし、他の人々にも迷惑がかかります。苦悩に満ちて、 その子のためにパピルスのかごを取り、それに瀝青と樹脂を塗って、その子を中に入れ、ナイル川の岸の葦の茂みの中に置 きました。

    2.この行為には母親の愛と神からの知恵が満ちていると思います。我が子をいくらかごの中に入れたとしても流してしまうことはできませんでした。 岸の葦の茂みの中に置い て、姉のミリアムに見守らせたのです。母親自身が行ったのでは目立ったでしょう。この一見捨てるような行為ですが、どうにもならない中で神に委ねるという信仰の行為でした。

捨てた子が戻ってきた

    1.なんとファラオの娘がそのかごを見つけ、 彼女はその子をかわいそうに思い、言った。「これはヘブル人の子どもです。」 と。ファラオの娘もユダヤ人の男の子はナイル川に流さねばならないことを知っています。しかし、彼女の その子をかわいそうに思 ったこの気持ちがモーセを救い、さらにすべての人の救いへと繋がったのです。

    2.彼女はそのかわいさに我が子にすることを決めました。その様子を見ていた 2:7 その子の姉はファラオの娘に言った。「私が行って、あなた様にヘブル人の中から乳母を一人呼んで参りましょうか。あなた様に代わって、その子に乳を飲ませるために。」 と、なんと機転の利いた話を持ちかけたことでしょう。子どもは時として神の導きにとても純粋です。ミリアムは神の知恵の言葉をいただいたのでしょう。それによってモーセはお母さんによって育てられることになりました。

神の沈黙は見捨たことではない!

救われたモーセが逃亡者となった

    1.さて、もう少し話を進めます。乳離れしたモーセはファラオの娘の元に連れて行かれ、エジプトの王宮で育っていきました。成長したモーセはイスラエル人としてのアイデンティティーがあり、同胞がエジプト人に打たれているのを見た時、このエジプト人を打ち殺してしまいます。それはモーセの良心から出た行為でしたが、大きな罪でした。

    2.彼は良い事をしたつもりが、その殺人が知られてしまい、エジプトにおれなくなってしまいます。そして、今度は自分からミディアンの地に逃れてそこに住むことにしました。せっかく不思議な方法で命を得たモーセだったのですが、ユダヤ人を救うこと無く逃亡者となってしまいました。

40年間神は沈黙された

    1.ミディアンの地で妻と子どもを得て40年を過ごすのですが、その間もイスラエル人はエジプトで苦役に苦しんでいました。 

2:23 それから何年もたって、エジプトの王は死んだ。イスラエルの子らは重い労働にうめき、泣き叫んだ。重い労働による彼らの叫びは神に届いた。
2:24 神は彼らの嘆きを聞き、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた。
2:25 神はイスラエルの子らをご覧になった。神は彼らをみこころに留められた。

と、神は動き出されました。

    2.長い奴隷生活の上、モーセが逃亡して40年が過ぎました。神はイスラエルを完全に見捨てたかのように見えました。エジプトにすれば、エジプトの神がイスラエルの神に勝ったように思えたでしょう。しかし、神は見捨てたのでは無く、時を待っておられたのです。

★ 私たちも神に見捨てられたと思うようなときがあるかも知れませんが、決して神は見捨てません。モーセの母の心の叫びが神に届きモーセを救い、イスラエルの叫びが神に届いています。あなたにとってだけの最善では無く、もっと大きな広い意味での最善を神は用意されています。信じますか?!