子育て通信 #146

お父さんの子育て

父がうまれる

 前回「子育ての会」のことを書きましたが、出席者はほとんどが女性です。お母さんが中心で、おばあちゃんもいらっしゃいます。子育て、孫育ての時代なのかも知れません。
 しかし、男性・お父さんの出席もたまにあるのです。「育メン」と言う言葉が出てきた時代だからなのでしょうか?

 「母の友6月号」(福音館書店)の特集が「父がうまれる」という興味深いテーマです。ここのところ脳科学の本を読んでいると男性脳と女性脳の違いが、子育てにも大きく影響していることが報じられています。
 「父がうまれる」の最初の部分を引用します。
家事育児をする父が増えていると言われています。
父としては「しているつもり」。
でも、夜、赤ちゃんが泣いても気づかず寝ていたり、朝、必死に登園の支度をする妻=母を尻目に新聞を読んでいたりして、母をイライラさせることも。
父と母の間にいったい何がおこっている?
また父、母、子、みんなが過ごしやすい状況とは? 
とあります。
 母親はお腹の中で赤ちゃんを育み、出産時には我が子を慈しむホルモンがものすごい量出ることで一気に母親になると言われています。一方父親はそのホルモンの出方は少なく、母親とその気持ちの差が激しいのです。

 

子育てしない父親?

 かつては父親は仕事をして家計を助け、母親は子育て、家事をして家を守るというような言い方があったように思います。そのために、校内暴力・家庭内暴力が言われた頃に、父親が母親に向かって「お前の育てが悪いからこうなったんだ!」と母親を怒鳴りつけることがよくありました。子育ては母親の仕事と思っていたということです。

 ですから、最近、父親はどうすることが父親としての育児・子育てなのかが混乱しているようです。父親としては「しているつもり」なのに、母親から見れば全く出来ていないということです。
 赤ちゃんが夜泣きすると、母親はすぐに目を覚まし、ミルクを与えたり、あやしたりしますが、父親ときたら目を覚ますことも無く、寝入っていて起きることも無い、たとえ起きたとしても、「俺は朝早くから仕事なんだ、何とか泣き止ませろよ!」とか言って母親を困らせるというのです。

 実際のところ、私のところに子どもさんのことで相談に見えるお母さんの話を聞いても、子どもさん自体の問題ももちろんありますが、結構父親が子育てに協力してくれない、それどころか、もう一人子どもが増えたかのように思えるというものです。甘えてきたり、何もかも母親にさせて自分はふんぞり返ってテレビや新聞を見ているというのです(男の私としては耳が痛いです)。

子育てする父親

 女性は産後赤ちゃんにおっぱいをあげるためにオキシトシン、エストロゲン、プロラクチンというホルモンが必要でそれが大量に分泌されますが、男性は特に変化がありません。それが、「目を覚ます母親」と「目を覚まさない父親」という結果にもなるのです。
 しかし、そういう男性(父親)でも、赤ちゃんを抱っこしたり、お風呂に入れたり、おしめを替えたりしていくこと、その回数を増やすことで、赤ちゃんを愛しいと思うホルモンの分泌量が増えるのです。つまり、父親も経験を積むことで育児に関心をもち、いやいやでもなくできるようになるということです。

 そう考えると、ある高校で行われている保育園との連携で、高校生が保育園実習のようなことをして、赤ちゃんに触れ、おしめを替えるということをしているのは、脳にその経験が蓄えられるので、実際父親になった時に大いに役立つと考えられます。

父親はいなくても

 「シングル・マザー」という言葉も普通に使われるようになってきましたが、2010年の統計によると18歳未満の子どもがいる世帯約1200万世帯のうち、母親と子どもだけで暮らす世帯は111万世帯を超えています。10%近い世帯に父親がいないことになります。一方父子だけで暮らす世帯は12万世帯と1%です。この数字は父親の必要度は、母親の十分の一ということかも知れません。
 実際のところ、子どもの心の安定には母親の存在は大きいのですが、父親は母親ほどに影響を与えないと言われています。

 しかし、子どもの非行問題を考えるとそのリスクは父子家庭の方が母子家庭に比べるとはるかに低いとされています。
 もう少し父親の存在の意義を語りますと、子どもの頃に父親と離別した子どもは、そうでない子どもと比べて、自己評価が低く、父親に拒絶されたと感じやすいそうです。
 父親を失ったり、父親不在の状況で育った青年では、うつや自殺企図、薬物やアルコール依存、10代の妊娠、家出、学業からのドロップアウト、心身症、精神障害のリスクが上がるそうです。

 父親はいなくても子どもは育つというのは正しいようですが、子どもがある程度成長していくと、その心の安定には父親の存在が影響していることがわかります。

夫婦ゲンカ

 「夫婦喧嘩は犬も食わない」と言いますが、犬も困るのでしょうけれど、子どもはもっと困ります。
  子どもにとってお父さんもお母さんもとても大事な存在で、その二人が仲違いしているとか、言い争っているのを見るのは小さな心を傷めるものとなります。

 夫婦の間では大したことのないケンカですぐ仲直りできる、ストレス解消程度のケンカであっても、子どもの心はそれと同じようには受け止めることができません。ですから、「子どもの前ではケンカするな」と言われるのです。

DV

 また、ケンカでも暴力的になると、DVという言葉で有名になりましたが、犯罪となります。もちろん言葉のDVもありますから、身体に傷をつけなくても裁かれます。
 それ以上に子どもの心を傷つけます。それは時には、子どもの脳に刷り込まれ、暴力事件を起こす原因にもなります。

 言葉の暴力でも同じです。優しい言葉を語れなくなり、ひどい言葉を語るようにもなってしまいます。とにかく子どもの心に大きな影響を与えるをことを忘れてはならないと思います。

怒りを鎮めよう

 聖書に面白い言葉があります。
 怒っても、罪を犯してはなりません。日が暮れるまで憤ったままでいてはいけません。
【新約聖書 エペソ 4:26】
 怒りそのものは認めても、罪を犯すなというこの言葉、大事ですね。でも、人間は怒っても罪を犯さないでいられるでしょうか?
 罪を単に警察沙汰になることだけではなく、その人のことを愛さないこと自体が罪だと考えると、人間の怒りは罪と切り離せないのかも知れません。
 そして、日が暮れるまで憤っていてはいけないというのは、その日のうちに和解しなさい、ということでしょう。

 特に子どもは叱られたままで寝てしまうと、あるいは子ども自身が怒ったままで寝てしまうと、睡眠時に脳の中で情報整理がなされてしっかりとした記憶に結びつくので、怒りやすい子どもになることも考えられます。
 できることなら気持ち良く寝させてあげたいものです。それが気持ち良い目覚めになるからです。

 怒りのコントロールを親が覚えておくと子どももできるようになると思います。「自制心」ってとても大事です。

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