「安心感」の力
「安心感」の力

「安心感」の力

子育て通信

子育てで一番大切なこと

 子育てで大切なことってたくさんあるのでしょうか? 実際に子育てをしていくと次々しなければならないことに出くわします。そしてどうしてもそのしなければならないことに追われてしまって本当に大切なことを見失ってはいないでしょうか?
 「子育てで一番大切なこと」(杉山登志郎著 講談社現代新書)という本を見つけました。そこには子育ての基本キーワードは「安心」とありました。そして、「母親・父親と乳児が安心できていること」と書いてあります。
 子どもが安心感を持つことで、しっかり成長していけますし、大きくなれば勉強面においても伸びます。それは大人の精神面でもそうだということはわかると思います。「安心感」があれば普段の生活においても充実しますし、仕事も効率よくできるものです。
 ということは親に安心感があれば、子育てもよくできるということです。

安心感の土台

 私は子育ての会を始めた30年ほど前から「安心感の二層構造」というものを語ってきました。それは2-3才までの記憶に残っていない時期にできる安心感、そしてその上に6才ぐらいまでにできる安心感という2層構造の安心感という土台です。これがしっかり形成されるとその上には色々なものを積み上げていくことができます。
 第一の安心感の土台は、「記憶に残っていない時期」と考えていますが、この時期はどうやら脳の大事な部分に記憶され、思い出せなくても生きる力になっていると思われます。この時期は記憶に残っていないもののお母さんやお父さんの愛情をいっぱいに受けて愛されていることを体全体で感じとって、安心感が形成されます。
 次に第二の安心感の土台ですが、これは記憶に残っているので、大きくなってから「●●してもらったなあ」とか思い出すことで力が湧いてきたりします。

佐々木正美先生から

 「子育てで一番大切なこと」というのをネットで検索してみると「佐々木正美先生に聞く 子育てで一番大切なこと」というのに出会いました。一部を紹介します。

Q.-佐々木先生は、児童精神科医として、今までにたくさんの子ども達やお母さん達に会ってこられたわけですがそんな中で、子育てをするにあたって何がいちばん大切だとお考えですか。
佐々木:子育てで何がいちばん大切なのかと言いますと、私は何よりも子どもの心に基本的信頼感を育てることがいちばん大切だと思います。

Q.-「基本的信頼感」というと、ちょっとむずかしそうな言葉ですが、これはどういう風に育つものなのでしょうか。
佐々木:どのようにすると基本的信頼感が子どもの心に育つかはとても大切なことですが、自分を信じてくれる人に巡り会うことなのですね。自分を信じてくれた人を、子どもは信じるようになります。子どものことを心配してあれこれ注意する親は、子どもを信じられないから心配しているというところがあるわけです。
親はそう思っていなくても、子どもにはそう伝わります。「こんなことじゃダメだよ、ああしなきゃダメだよ」と言っているのは、信じられないからです。子どものためを思って心配しているという部分は子どもには伝わらなくて、要するに子どもを信じていないということだけが伝わります。
子どもは自分を信じてもらうことによって、信じてくれた人を信じます。そして自分が信じられたことによって、自分を信じることができるのです。こういう関係がまず基本なのです。こうしたことをクライン教授に私は教えられたのです。自分を信じてくれるというのは、別の表現をすると、自分を愛してくれると言い直してもいいでしょう。
ところが、私達親は子どもを愛していると思いながら、実は親自身が自己愛になっていることがあります。ということは、自分の望むような子どもにしようと一生懸命になり、それを愛していると思い込んでいるのですね。自分の考えは間違っていないんだ、こうするといい子になるんだというふうに思っていることが実は自分の望んでいる子どもになってほしいという気持ちからきていることがあります。そうすると、子どもを愛しているように見えて、実は親の自己愛なんです。
子どもはしばしば親の自己愛の対象になっていることがあります。このような場合には、子どもは本当に親に愛されているとは感じられません。全然愛されていないとは思っていませんが、愛され方に子どもとしては不足があるわけですね。親の望むような子どもを演じることで、親が安心してくれるということは、親の望む子どもでなければ愛せませんよ、というメッセージになっているのです。

子どもを幸せにするのなんて
とても簡単なことですよ。
親が笑顔なら
それだけで子どもは幸せなのです。
自分が親を幸せにしたと思って
自信たっぷりに育っていくのです。

佐々木正美先生の言葉

信じることと愛すること

 「信じる」と「愛する」という言葉が出てきました。これは切り離せない関係です。子どもは愛されているから、信じてくれているから親を信じます。
 私が小学6年生の時のことですが、まだよちよち歩きの子どもがプールサイドからお父さんのいるプールの中に飛び込んでいったので、驚いた経験があります。すごく楽しそうにしているのです。私には信じられない光景でした。こんな小さな子が、恐がらないでプールに飛び込んでいくなんて。というのも、私は5年生でやっと泳げるようになったからです。ずっと水が恐くて水の中で目を開けられなかったのです。そのために泳げませんでした。それが5年生の夏、プールサイドから友達に押されてプールに落ちたのです。その時、目が開いていてプールの中が見えたのです。「あれっ!目を開けられる」と分かったのです。それで初めて目を開けてプールに潜ってみました。「できる!」そして手足を動かしたら泳げたのです。こんな経験があるものですから、この赤ちゃんがプールのお父さんのところに飛び込んでいくのが不思議だったのです。
 赤ちゃんがお父さんがいるので安心してプールに飛び込んでいきます。
 似たような光景を公園でも見ました。ちょっと高いところに上った子どもが恐くなったのですが降りられなくなりました。そこで、お父さんが手を広げて「大丈夫だから飛び降りておいで」と言ったのです。するとその子はそのお父さんの元へ飛び込んでいったのです。「すごい!」と思いました。いつも抱きしめてくれているお父さんの胸と腕の中には安心して飛び込んでいけるのです。「いつもそうしてくれているから」という「安心感」がその子に飛び込む勇気を与えたのです。

安心感は人生の土台

 「安心感」はその後の人生に大きな影響を与えます。
 12年間辛い病の中にあった女性がイエス様のところに来ました。イエス様なら、自分のこの長年苦しんでいる病気も癒していただけると信じたのです。しかし、イエス様に声をかける勇気も無く、大勢の人混みに紛れて、そっとイエス様の衣の裾に触れました。するとたちどころにその病が癒されたのです。その時、イエス様は「だれかがわたしにさわりました。わたし自身、自分から力が出て行くのを感じました。」(ルカ8:46)と驚くようなことを言われたものですから、女性の心臓はバクバクしたことでしょう。彼女は進み出て、自分の身に起こったことをみんなの前で語りました。そこで、イエス様は「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。」(ルカ8:48)と言われました。
 この女性のホッとした顔が目に浮かぶようです。彼女はその後もきっと生き生きと生活ができたことでしょう。人は愛されていることを感じてその人を信じます。子どもはその「愛」を親の笑顔や抱きしめ、温かい言葉などで感じるのです。それが安心感の土台となっていくのです。
 「信仰」はイエス様に抱きしめられていることを信じることで、思い込みではありません。子どもの記憶に残っていなくても親の愛を受けて育ったように、私たちも記憶として無くても、神に愛されている事実があるのです。

子育て通信

Posted by shinnakano