藤井佳子師
藤井佳子師

疲れ果てた神の人

礼拝メッセージ

 2021/4/18 礼拝説教
【テーマ】常に注がれる神の励まし
【説教題】「疲れ果てた神の人」
【テキスト】第一列王記19:1~8 

19:1 アハブは、エリヤがしたことと、預言者たちを剣で皆殺しにしたこととの一部始終をイゼベルに告げた。
19:2 すると、イゼベルは使者をエリヤのところに遣わして言った。「もし私が、明日の今ごろまでに、おまえのいのちをあの者たちの一人のいのちのようにしなかったなら、神々がこの私を幾重にも罰せられるように。」
19:3 彼はそれを知って立ち、自分のいのちを救うため立ち去った。ユダのベエル・シェバに来たとき、若い者をそこに残し、
19:4 自分は荒野に、一日の道のりを入って行った。彼は、エニシダの木の陰に座り、自分の死を願って言った。「【主】よ、もう十分です。私のいのちを取ってください。私は父祖たちにまさっていませんから。」
19:5 彼がエニシダの木の下で横になって眠っていると、見よ、一人の御使いが彼に触れ、「起きて食べなさい」と言った。
19:6 彼が見ると、見よ、彼の頭のところに、焼け石で焼いたパン菓子一つと、水の入った壺があった。彼はそれを食べて飲み、再び横になった。
19:7 【主】の使いがもう一度戻って来て彼に触れ、「起きて食べなさい。旅の道のりはまだ長いのだから」と言った。
19:8 彼は起きて食べ、そして飲んだ。そしてこの食べ物に力を得て、四十日四十夜歩いて、神の山ホレブに着いた。

第一列王記19:1~8

エリヤの活躍

干ばつの中での奇跡

北王国イスラエルの王アハブは、その妻イゼベルによって異教の神バアルを崇拝した。エリヤは、真の神に立ち返らなければ、主によって干ばつが起こると預言する。しかし、王は聞かなかった。預言通り干ばつに襲われるが、エリヤは主が使わされたカラスによってパンと肉を与えられ、生き延びる。また、主はエリヤをツァレファテに導かれ、エリヤは異邦人の貧しいやもめに残りわずかな食物を要求する。やもめは、決死の覚悟で彼に食べ物を与えるが、かめの粉は尽きず、壺の油はなくならないという奇跡が起きる。その後、やもめの息子は死んでしまうが、エリヤが祈ると息子は息を吹き返す。(Ⅰ列王記17章)

エリヤとバアルの預言者450人との対決

前章から3年が経過しているが、依然として干ばつは続いている。エリヤは、
カルメル山にイスラエルの人々を集めて、主なる神とバアルの神のどちらを信じるのか明確にせよと訴える。そして、天から火を下して生け贄の雄牛を焼かれる神を、本当の神とせよという。バアルの預言者は、朝から午後三時頃まで、自分たちの体を剣や槍で傷つけながら、必死に祈ったが、火は付かなかった。この後、エリヤは生け贄とたきぎの上にわざと大量の水をかける。そして、イスラエルの民が主こそ神であることを知るようにと祈ると、天から火が下り、生け贄もあふれた水もみな燃え尽きてしまった。(Ⅰ列王記8章)

大雨の奇跡

対決後、カルメル山頂から地中海に雲が湧き起こってくるのが見え、激しい雨が降る。エリヤは「雨を降らせてください」と祈るのではなく、「主が本当の神であることを示してください」と祈った。(Ⅰ列王記18章) 

疲れ果てた神の人

エリヤは、異教の預言者たちと対決して勝利した後、主を神と信じる者たちに命じて彼らを殺害している。これは、申命記(17:2~5,13:13)などに規定されている偶像礼拝に対する刑罰と思われる。エリヤはこうすることによって、イスラエルの人々を偶像礼拝の罪から守ろうとした。
そこで、怒ったイゼベルは、エリヤの命を狙う。18章で、エリヤは大活躍した。ところが、イゼベルに命を狙われて逃避するという情けない状態になっている。エリヤは、偉大な預言者であるが、やはり弱さを持った人間であることがよくわかる。彼は疲れ果て、まさに燃え尽きてしまった。

常に注がれる神の励まし

御使いによる励まし

エリヤは疲れ果てて、いつの間にか眠ってしまった。しかし神は、御使いによって、エリヤにパンと水を与える。私たちも疲労困憊したときは、まず十分な睡眠と栄養をとることが必要になる。同様に、神もこの時のエリヤに休息と栄養を与えてくださった。そして、神はエリヤをホレブ(シナイ)の山に向かわせる。ホレブは、かつてモーセが神から十戒を受け取った場所であった。そして、イスラエルの人々にとって、ホレブは霊的覚醒、または神からインスピレーションを与えられるような特別な場所とされていた。

御言葉による励まし

エリヤはホレブのほら穴で一夜を過ごす。神は彼に尋ねた。「エリヤよ。ここで何をしているのか。」エリヤは神に次のように答えた。

19:10「私は万軍の神、【主】に熱心に仕えました。しかし、イスラエルの子らはあなたとの契約を捨て、あなたの祭壇を壊し、あなたの預言者たちを剣で殺しました。ただ私だけが残りましたが、彼らは私のいのちを取ろうと狙っています。」すると、神はエリヤにほら穴から出るように命じた。
19:11 主は言われた。「外に出て、山の上で【主】の前に立て。」するとそのとき、【主】が通り過ぎた。

第一列王記19:10-11

主の臨在が現され、神が共におられることが示される。人が何かを恐れて神を避けるとき、神はあえてこのような質問をされる。神は「何をしているのか?(わたしはあなたと共にいる。あなたがするべき事を考えよ)」とエリヤに語られた。エリヤは、かすかな主の御声を聞き、神の語りかけに励まされたのだった。

同労者による励まし

次に神は、エリヤに同労者がいることを教え、励ましてくださった。アラムの国にはハザエルという王を、北王国にはエフーという王を、そしてエリヤの後継者にはエリシャをたて、この三人がアハブ王とイゼベル、またバアルの預言者を滅ぼすと預言される。さらに、バアルに従わない7千人のイスラエル人がいることも示された。エリヤは孤独ではなかった。神は多くの同労者を用意して、エリヤの働きを導いてくださったのである。

結び)

疲れ果て、燃え尽きてしまうような状況にあっても、神は常に私たちに励ましを与えてくださる。周囲の人間や環境を恐れてはならない。そこに目を向けてはならない。神が共にあることを覚えようではないか。